太陽工業コラム
倉庫を安く・早く新設したいと考えた場合、昔ながらのよく耳にする「低コスト、短工期」の工法として「プレハブ建築」をまず思いつかれる方も多いのではないでしょうか。
本記事では倉庫をプレハブ建築で新設する場合のメリットや注意点のほか、更なる選択肢としてシステム建築による倉庫新設などについても解説しています。
「プレハブ建築」の基本情報
プレハブ建築とは?
「プレハブ」とは、そもそも Prefabricated(カタカナで読みを表すと“プレファブリケイティッド”)という英語が日本式に略された言葉です。
組み立て式、あるいは組み立てを前提とした部材そのものなどを意味する Prefabricated の言葉どおり、プレハブ建築は、予め所定の手順で組み立てることを前提に部材が作られており、建築現場においてそれらを仕様どおりに組み立て、寸法なども製品ごとに予め決められた仕様で完成する建築工法です。
部材や細かな工程の違いによる様々なプレハブ建築
ひとくちに「プレハブ建築」といっても、部材の種類や工程の違いによって様々なプレハブ建築があります。
使われる部材の違いでは、大きく重量鉄骨系、軽量鉄骨系、木質系に分けられます。
また工程の違いによって、主にパネル工法やユニット工法などがあります。
部材の違い:重量鉄骨系
重量鉄骨系は建築の現場で、資材をボルトで固定していくことが主な工程となるため、工期が比較的短く済みます。一般的に軸組方式(土台をもとにして垂直の「柱」、水平の「梁」、斜めの「筋交い」といった軸を組む)とパネル方式(壁・屋根などの部分を予め工場で生産・加工して現場へ搬入する)を組み合わせて構成されます。
火災に強く、また組み立て時の狂いも少なく済むのが特長で、そのぶん間取りの自由度が高くなっています。
重量鉄骨は他の部材と比較して原材料価格が安定している傾向にあるため、建築時にかかるコストも安定しています。
部材の違い:軽量鉄骨系
軽量鉄骨系は、軽量鉄骨をもちいた軸組方式で構成されます。取り扱いしやすい軽量鉄骨を現場で組み立てるため工期が短くなりやすく、品質にも安定感があります。
部材の違い:木質系
プレハブ建築では木質の部材を使う場合もあります。搬入した部材を現場で組み立てていくという点で他の部材と同様ですが、細かな加工をしやすい木質系の部材のため、木造住宅のような自由度の高いデザインや構造を実現しやすくなっています。
工程の違い:パネル工法
現場へ壁や床などのパネルを搬入し、組み立てる工程をとります。
工程の違い:ユニット工法
工場で予め、電気配線や水道配管などの設備まで含めて設置済みの箱型のユニットを、まるごと現場へ搬入し、そのまま設置する工程がとられます。
さまざまなニーズで使われるプレハブ建築
プレハブ建築は様々な建築物で採用される建築工法ですが、特に倉庫、店舗、事務所、集会所や、大規模な施設では体育館、商業施設、工場施設などといったように、デザインや寸法などが予め製品として定められた一様のものでも問題ない、という場合に多く選択されている建築工法です。
倉庫をプレハブ建築で建てる場合の工期目安
倉庫をプレハブ建築で建てる場合、提供事業者の違い、プレハブ倉庫の仕様の違いなどによってもかかる工期に差が出ますが、ここでは一般的な工期の目安をご紹介します。
- 重量鉄骨系、軽量鉄骨系……40日~120日程度
- 木質系……60日~90日程度
- ユニット系……20日~60日程度
あくまで目安とはなりますが、大体のケースでおおむね3か月程度、そして予めボックス単位で生産してから現場で組まれるユニット系ならさらに短めになる、という傾向にあります。
倉庫のプレハブ建築費用はどの程度?
プレハブ倉庫を建築する際にかかる費用には、本体部材費、基礎工事・外構工事費、内装・外装・設備費などが含まれます。
費用面も工期と同様に、事業者や商品の違いにより様々な違いがありますが、以下に目安として費用総額の例を3パターンご紹介します。
- 金属系パネル資材のプレハブ / 建物面積36坪 / 工期120日……1,200万円前後
- 軽量鉄骨、軸組みパネル資材のプレハブ / 建物面積90坪 / 工期60日……2,200万円前後
- 金属系パネル資材のプレハブ / 建物面積56坪 / 工期30日……1,100万円前後
倉庫をプレハブ建築で建てる場合のメリットとデメリット(注意点)
実際にプレハブの倉庫を目にすることが多いことからもわかるように、プレハブ建築は倉庫を新設・増設する際の有力な選択肢のひとつです。
倉庫をプレハブ建築で建てる場合のメリットと、予め留意しておくべきデメリットを確認しておきましょう。
メリット:低コストで建築できる
プレハブ建築は在来工法と比較して、建築の費用を大幅に抑えることが可能です。
但し、詳しくは後述しますが、倉庫の建築ならば更に簡易的・低コストな「テント倉庫」という選択肢もあります。
メリット:工期が短く済む
プレハブ建築は、所定の手順で組み立てることを前提として予め部材が作られていることから、短い工期での施工が可能です。
ユニット系のプレハブ建築であれば更に短い工期で済みますし、そうでなくともプレハブは基本的に工期が短く済むでしょう。
メリット:仕様どおりのパーツ・設計で均質な建築物として完成するため、一定の品質・精度が期待できる
オーダーメイドで作られる在来工法とは異なり、プレハブ建築は部材レベルから予め仕様がすべて決定されているため、出来あがりの状態もすべて仕様どおり、均質となります。
製品の下見時・選定時にイメージしたまま完成するため、品質面や精度の面でも「建ててみたら予想と違った」ということはまず起こらないでしょう。
メリット:倉庫増設や移設にも対応しやすい
低コスト・短工期であることに加え、一定の形状やサイズで作られるプレハブ建築は、増設時にも設置場所との兼ね合いなどを検討しやすく、増設の検討もしやすいでしょう。
また分解、再組立などといったことも在来工法と比較して容易なため、移設にも対応しやすくなっています。
デメリット(注意点):デザインや形状の自由度が低い
予め組み立てに使われる部材が用意されているという点は、組み立てるだけで完成するというブレハブのメリットがある一方で、デザインや形状の自由度が低いというデメリットにもつながります。
事業者によっていくつかの製品種類が用意されている場合はもちろんあるものの、形状は一般的に汎用性の高い、真四角で装飾性や付加機能などがないものが多くなっています。
ただし、プレハブ建築の倉庫の仕様や注文方法は提供するメーカー・施工会社によっても異なるため、詳しくは提供事業者に確認することをおすすめします。
デメリット(注意点):柱スパン(設置すべき柱と柱の間の距離)は短めとなるケースが多い
この点は、特に後述するシステム建築と比較しての話になりますが、プレハブ建築では構造を支えるための柱が多めとなり、例えば開放的な内部空間、格納の自由度が高い倉庫空間などを求める場合には、不向きなこともあります。
比較検討対象に挙がりやすい「システム建築」「テント倉庫」との違い
ここまでプレハブ建築の特徴についてご紹介しましたが、コストを抑え、短い工期で倉庫を新設する方法にはプレハブのほかに、「テント倉庫」や「システム建築」といった選択肢もあります。
それぞれの違いについて、以下で簡単にご紹介しておきます。
それぞれにメリットがありますので、あわせてご参考ください。
プレハブ建築と「テント倉庫」の違い
テント倉庫は、その名のとおり屋根や壁部分が膜材をかぶせるかたちによって構成される、プレハブよりも簡易的な建築工法となります。
プレハブ建築よりも更に低コスト、短工期となることが特徴です。
耐久性という面では一般的にプレハブ建築よりも劣りますが、用途によっては膜材による壁や天井のほうが適切な場合もあり、また万が一の場合にも張替が容易です。
耐久性自体が高められたテント倉庫も存在します。
プレハブ建築と「システム建築」の違い
プレハブ建築は寸法や部材などが予め決められていることから一定品質という面で優れている一方で、前述のようにデザイン性という面では選択の幅がほとんどありません。
システム建築は、プレハブ工法の良さを土台としつつも、プレハブよりも設計に柔軟性があり、また建築物の品質もさらに向上された工法です。
システム建築では設計段階からコンピュータの高度な処理能力がもちいられ、最適化された緻密な構造設計によって断熱性や遮音性といった機能面が高められています。
▼倉庫を建てる際のさまざまな工法の一覧、比較については、こちらの記事でも詳しくまとめています。ぜひあわせてご覧ください。
倉庫を建てる場合の工法の選択肢「在来工法 / プレハブ / システム建築 / テント」を比較解説
テント倉庫のリース・レンタルからシステム建築倉庫まで、倉庫の新設は「太陽工業」へご相談ください
太陽工業では、プレハブ工法に柔軟性や高品質をプラスした「システム建築」、および低コストで導入いただける「テント倉庫」を提供しております。
テント倉庫では、最長1年の期間でレンタル用規格製品をご利用いただける「レンタル」のほか、ご要望に応じた膜構造物を長期間割安でご利用いただける「リース」といったご利用形態もご用意しております。
プレハブ建築の倉庫をご検討されているお客様は、ぜひ更なる選択肢として弊社製品をご検討ください。
▼太陽工業株式会社の製品情報はこちら
https://www.tentsouko.com/
「プレハブ」「テント」「システム建築」など倉庫の新設時は目的に合わせて検討しよう
倉庫を新設する際には、本記事で主にご紹介した「プレハブ建築」のほか、目的やニーズにあわせて「システム建築」「テント倉庫」といった方法も選択肢になります。
ぜひ、それぞれの特徴を検討したうえで最適な手段を選択してください。
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