太陽工業コラム
昭和51年創業の株式会社最上まいたけ様は、キノコの名産地である山形県最上郡鮭川村でしいたけ・まいたけを中心としたキノコ類の生産・販売を行う企業です。
同社はキノコの生産だけを行う「農業」ではなく、加工や販売・卸までを含めた「農産業」を事業としている点が特徴で、新製品の開発など常に新たな取り組みを行われています。
そんな挑戦を続ける同社では、椎茸・舞茸栽培の施設として新たに「テント倉庫」を導入されています。一見、農作物の栽培と結びつかないイメージの「テント倉庫」を導入した経緯や、栽培施設としての利点などはどういったものなのでしょうか?
「テント倉庫」の新たな可能性となる農業への活用について、同社の荒木社長へインタビューさせていただきました。
【目次】
- 1.「テント倉庫」を選ばれた経緯や理由について
- 2.検討開始から採用まで
- 3.導入後に感じたギャップ
- 4.「テント倉庫」の良い点について
- 5.「テント倉庫」気になる点について
- 6.キノコ栽培における「テント倉庫」の活用
- 7.生産能力の変化
- 8.まとめ
栽培施設として「テント倉庫」を選ばれた経緯や理由を教えてください。
元々、補助金の制度を利用して新たな施設を建てようと考えていたことが始まりです。様々な補助金制度を調べた中で、農業系の補助金制度であれば、検討を進められそうだと分かりました。太陽工業さんの「テント倉庫」であれば、そのあたりも対応していて非常にスムーズに進められるという点は、一つの決め手になりました。
施設としては、当初は園芸ハウスにする方向で考えていたのですが、園芸ハウスでは高さの観点で建築法上問題が出てきました。そのため、高さの問題をクリアできるテントハウスにしようと途中で方針が変わったんです。
その中で、設計士さんなどからオススメいただいたのが太陽工業さんの「テント倉庫」でした。実績も多く、JAの大蔵支店さんで実際に利用されているところも現地で拝見して、「これならばなんとかなるんじゃないかな」と感じたことが決め手でしたね。 施設の新設には多額の投資が必要でしたし、特に当社の地域は豪雪地帯で、その面での不安というのもありますから事前調査はそれなりに行いました。そのため、実際に近くで採用事例を確認できたことはとても大きかったですね。
「テント倉庫」の検討開始後、どれくらいの期間で最終決定に至りましたか?
なんだかんだ半年ぐらいはかかりました。栽培施設としてのどういう設計をするかという細かいやり取りが結構あったの、でそこに時間を要しました。ただ、テントを決めること自体は早かったと記憶してます。JAさんの実例も確認できたので、一定の信頼性を得られたこともあって、大枠の見通しはすぐに決めることができました。
導入前と後でのギャップなどはありましたか?
ギャップというものは特にありませんでしたよ。 想定よりも良かった点としては、「テント倉庫」特有の室内の明るさが役立っています。日中に作業をするときなんかは電灯などを点けなくても自然の光を上手く利用して明るさを確保できるので、作業上何も問題がないという利点を感じています。
「テント倉庫」の良い点はどういったものでしょうか?
大きい利点としては、柱が無いという点ですね。 通常の鉄骨造りになると、大きな柱が建っている部分が構造上どうしても出てきます。「テント倉庫」ではそれがないため、設計上も制約がなくてスペースをフルに使えます。この点が非常に良かったなと改めて感じています。 また、先ほどお伝えした明るさの点も含めて、働く環境として非常に良いものができたので従業員のヤル気という面にも寄与しているなと思います。 検討段階から現在までしっかりと対応していただいているので、サポート体制にも非常に満足しています。
逆に、気になる点はありますか?
半年過ごしてみて、夏場はそこまで暑さを感じなかった反面、やはり冬場は寒いなと正直感じています。テントはシート素材という部分もあり、作業場は地域柄どうしても寒くなってしまうため、今後の対策を考えていかないといけません。 また、豪雪地帯でもあるため、どこまでの積雪に耐えられるのかも多少不安が残ってはいます。そのあたりも実際に体験してみないと分からない今後の課題ですね。
キノコ栽培において、実際に「テント倉庫」をどのように使われているのでしょうか?
簡単に言えば、まず菌を作る場面から「テント倉庫」を利用をします。 この施設の流れとしては、しいたけやまいたけの培地を作り、ミキサーで攪拌します。そこに詰め機にて袋詰めをしたものを台車に載せて、高圧殺菌をした後に菌を植えていくというものです。それを奥にある培養室である程度育てた後に、別のハウスに移動しています。「テント倉庫」内にはちゃんとボイラーも設置していて、栽培の初期段階は全て一つの施設内で完結するようになっています。
導入後、生産能力については変化はありましたでしょうか?
あくまでも予定ではありますが、施設の規模からして生産量はおおよそ倍増となる想定です。当初はそこまでの規模拡大は見ていなかったのですが、結果的に建築に費用や時間など一定のコストがかかるため、規模のメリットを出す方向にシフトしました。
拡大するにあたっての人の手配や技術などまだ完全に確保しきれてない点もあるので、現時点では100%稼働というわけにはいかないですが、間違いなく生産量は増える予定です。 しいたけやまいたけなどの業界は、昨今では様々な要因で撤退される農家さんも増えているので、逆に販売の需要に応えきれていない部分が当社でもありました。今後はそういった販路の拡大にも繋げていけると考えています。
株式会社最上まいたけ様、ありがとうございました。
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