太陽工業コラム
日本では明治以降、産業の発展に伴う土壌汚染が社会問題として注目されるようになりました。 農用地から市街地と、私たちの身の回りの様々な部分で、有害物質による土壌汚染の問題が拡がり、今日まで様々な対策が取られてきています。
現在では、汚染土壌の実態が明らかになってきたことで、汚染土壌の処理に関してもその手法が確立されています。 有害な物質を扱うことになるため、厳重な取り扱いを徹底するため、様々な基準を設けた法令が定められ、その決まりに則した対応が求められます。
この記事では、汚染土壌処理作業に求められる条件や、そのための設備についてご説明します。 また、その設備の中でも重要となるテント・仮設屋根について、具体的にどのようなものがあるのかもご紹介していきます。
汚染土壌処理の準備をする際の参考として、お役立てください。
【目次】
1 汚染土壌処理作業とは
2 汚染土壌処理作業の内容によって専用の施設が求められる
2-1 汚染土壌処理施設の種類(法第 22 条第 2 項第 3 号及び処理業省令第 1 条)
3 汚染土壌処理作業用の施設に求められる条件など
4 太陽工業の汚染土壌処理用テント・仮設屋根
4-1 飛散防止テント
4-2 有害物含有粉塵拡散防止テント
4-3 伸縮式テント
4-4 新型伸縮式仮設テント
4-5 固定式テント
5 まとめ
汚染土壌処理作業とは
『汚染土壌』の定義から確認します。
汚染土壌とは、特定の有害物質(重金属や有機溶剤、農薬、油など)が、人体や環境に害をなす基準値を超えて含まれる土壌(土)のことを指します。 有害物質に汚染された土壌は、その土壌を直接摂取したり、土壌が溶出した地下水等を飲用したりすることで、人体や生物、自然環境に悪影響を及ぼす危険性があります。 そのため、汚染土壌をそのままにせず適切に処理する必要があり、地域や環境の保全を行うために、汚染土壌処理作業が現在進行形で、各地で必要とされているわけです。
この基準を定めるため、2003年に『土壌汚染対策法』という法律が制定されました。土壌汚染の状況の把握や土壌汚染による人の健康被害の防止を目的としたこの法には、以下のような事項が記載されています。
- 土壌汚染調査の義務がかかる土地の基準
- 対象となる特定有害物質及びその基準値
現在では、この法律の内容に従って汚染土壌処理作業を行わなければなりません。 また、『土壌汚染対策法』の内容に合わせて、『汚染土壌処理業に関する省令(以下、処理業省令)』という省令も出されています。 その他にも、『汚染土壌の処理業に関するガイドライン』という、実務にあたる地方公共団体や事業者の参考となる手引きも作成されています。
これら各種法令の規定にしたがって、汚染土壌処理作業に必要な設備を確認する必要があるのです。
汚染土壌処理作業の内容によって専用の施設が求められる
汚染土壌処理作業における様々な決まりが、法令において定められています。 汚染土壌の原因となる有害物質(汚染物質)も様々なため、処理作業の内容もまた様々です。
そして、処理作業の内容によって、専用の処理施設も必要とするように規定されています。 定められている処理施設の種類は以下の内容です。
汚染土壌処理施設の種類(法第 22 条第 2 項第 3 号及び処理業省令第 1 条)
浄化等処理施設
汚染土壌の浄化、溶融又は不溶化を行うための施設
セメント製造施設
汚染土壌を原材料として利用し、セメントを製造するための施設
埋立処理施設
汚染土壌の埋立てを行うための施設
分別等処理施設
汚染土壌から岩石やコンクリートくず、その他の物を分別したり、汚染土壌の含水率を調整するための施設
汚染土壌処理作業用の施設に求められる条件など
上述したとおり、汚染土壌処理作業の内容によって必要とされる専用施設があります。 そして、その施設に関しても、それぞれに求められる条件が細かく定められています。 その内容について、概要を以下に整理します。
構造耐力上の安全性(処理業省令第 4 条第 1 号ハ)
汚染土壌処理施設は、年間を通じて安定した稼働が求められます。 自重、積載荷重、水圧、土圧、風圧、積雪荷重、地震力、温度応力等に対して構造上安全であること。 必要に応じて、耐摩耗性、耐腐食性、耐熱性等の特性を持つものが求められます。
腐食防止措置(処理業省令第 4 条第 1 項ニ)
分解処理による排ガスや排水、処理に使用する薬剤の中には腐食性の物質が含まれている場合があり、これらが汚染土壌処理施設に影響を及ぼさないように腐食防止措置を講じる必要があります。
飛散等・地下浸透・悪臭発散を防止する構造(処理業省令第 4 条第 1 号ホ)
汚染土壌処理施設を行う現場から、特定有害物質などの飛散や地下への浸透、悪臭の発散を防止するため、必要な構造もしくは必要な設備が設けられている必要があります。
著しい騒音及び振動の発生防止(処理業省令第 4 条第 1 号ヘ)
汚染土壌処理施設にて各種設備を稼働することなどによって、著しい騒音や振動が生じ、周辺の生活環境に影響を及ぼす可能性があります。 そのため、汚染土壌処理施設の周辺環境の状況に応じて、低騒音型機器の採用や、防音壁の設置が必要となります。
排出水処理設備等(公共用水域)(処理業省令第 4 条第 1 号ト)
排出水を公共用水域に排出する場合には、処理業省令にて規定された設備が設けられている必要があります。
排出水処理設備等(下水道)(処理業省令第 4 条第 1 号チ)
排出水を排除して下水道を使用する場合にも、処理業省令にて規定された設備が設けられている必要があります。
地下水モニタリング設備(処理業省令第 4 条第 1 号リ)
処理施設の周縁の地下水に関して、汚染状態を測定する測定設備が必要です。 ただし、定められた地下浸透防止措置が施されている場合に関しては、測定設備および測定自体も不要となります。
大気有害物質処理設備等(処理業省令第 4 条第 1 号ヌ)
浄化等処理施設もしくはセメント製造施設において、排出口から大気中に大気有害物質を排出する場合、有害物質の量が許容限度を超えないようにするために、必要な大気有害物質処理設備を設けるとともに、大気有害物質測定設備も設けなければなりません。
太陽工業の汚染土壌処理用テント・仮設屋根
汚染土壌処理作業用の施設には、様々な条件が求められることをご説明しました。 汚染土壌処理作業を行うためには、多くの条件をクリアした施設や設備が求められますが、そういった施設や設備を都度手配することは、なかなか手間や負担がかかるものになります。
そのため本記事の最後に、そういった負担を軽減できる設備として、太陽工業株式会社の製造するテント・仮設屋根のラインナップを例としてご紹介します。
飛散防止テント
太陽工業の『飛散防止テント』は、名前のとおり周辺へ汚染物質が飛散することを防止するために用いるテントです。 飛散防止の措置が必要なケースについては、以下の記事に詳しく記載されています。
>>『飛散防止テントを汚染土壌対応工事の現場に設置する必要性』
目的と環境に配慮した自由な設計と高いデザイン性が特徴で、さまざまな現場で活躍している、太陽工業のノウハウが結集されています。 レールに沿った横移動・クレーンを用いた吊り上げ移動など、移動もスムーズに行うことが可能です。 屋根ユニットはクレーンやウィンチで移動できるため、大面積な現場でも問題なく対応することができます。
大スパン施設(W15~30メートル) でも、移設が簡単な構造となっており、移設にかかる総コストを大幅に削減することも期待できます。
有害物含有粉塵拡散防止テント
汚染土壌処理作業によって発生する粉塵が周辺に散って拡散することを防ぐため、各種設備を備えたのが『有害物含有粉塵拡散防止テント』です。 汚染度合のレベル1からレベル3まで現場に合わせて対応します。 前室やクリーンルームを設けたり、更衣室にスクリーニングルームを備えたり、負圧集塵機で汚染土壌の粉塵を含む空気を清浄化したりすることで作業者の安全を第一に考えて作られているため、非常に高品質な点が特徴です。
伸縮式テント
『伸縮式テント』は、テントのフレーム自体が伸縮することで、サイズを調整できるタイプのテントです。 作業箇所の移動や進捗状況、テントの使用環境に合わせてサイズを調節し、一度の設置作業で幅広い用途と長期間に対応します。 上屋の伸縮は、機械を使わず人手でも対応可能となっており、重機を使わないことでコスト削減にもつながります。
間口サイズは5種類用意されているため、各現場に合わせて適切なサイズを選択可能であり、長尺の物や大型の物でもスムーズに入出庫することができます。 設置は1棟あたり通常1〜4日で完了可能で、撤去も通常1~2日で現状復旧でき、工期全体の短縮にもつながります。
新型伸縮式仮設テント
必要に応じてスパン毎にテントを差し込んでいく構造となっているのが『新型伸縮式仮設テント』です。 必要な面積の分だけ上屋をレンタルできるようになっており、ムダのないコスト構造を実現します。 桁行方向の寸法は1スパン(1.5m)毎に自由に設定でき、用途や状況に応じて柔軟に対応することができます。
開口部はカーテン式で、スライドするだけでフルオープンするため、スピーディーな出し入れが可能です。 テント取付はガイドファスナーに沿って分割膜を差し込みスライドさせるだけなので、旧型と比較して、施工性と安全性が向上しています。
固定式テント
大空間の保管スペースを手軽に確保することができる、サイズ固定のテントです。 サイズ変更や移動の必要がない場合において、中間支柱のない大規模なスペースと7.5mの軒高を確保できる構造で、多くの荷物をゆとりをもって格納することができます。 高機能な保管向けの倉庫として利用できるもので、短い期間で構築可能な点も魅力のひとつです。
建築基準法に対応しているため、建築確認申請が可能となっています。
まとめ
汚染土壌処理作業を行う施設や設備には厳格な基準が設けられています。 有害物資を扱うことになるため、当然ではありますが、考慮すべきことが多く地方公共団体や事業者の担当者の中には、頭を抱えている方も多いのではないでしょうか。
太陽工業株式会社のテント・仮設屋根は、法令準拠にも対応できる豊富な種類と多様な機能を備えています。 検討中や悩んでいるという方は、まずは相談という形でも結構ですので、お気軽にお問い合わせください。
公式ウェブサイト:太陽工業株式会社
テント倉庫への
お問い合わせはこちら
倉庫建設時に知っておくべきこと
すべて詰め込みました。
2024年問題解決の糸口
こんな方におすすめ
倉庫建設で何から着手すべきかわからない
・経済的に倉庫を建設したい
・どの種類の倉庫を建設すればいいのか
・とにかく、倉庫建設の基礎知識を付けたい
・2024年問題が気になるが、 何をすればよいかわからない