太陽工業コラム
物流現場で近年注目されている倉庫管理システム「WMS(Warehouse Management System)」は、導入によって倉庫内業務における様々なメリットが期待できるシステムです。ただしWMSには複数の製品があるため、導入前には比較して選ぶことが必要になります。
複数の機能を包括的に搭載するWMSは、製品によって特色の違いがあったり、一方で共通している内容も少々違う表現になっていたりという状況があり、各社が提供している無料のダウンロード資料などで検討していても、性能が比較しづらいということがあります。
そこで本記事では、WMSの選び方の基本から、わかりやすい比較ポイントなどをまとめてご紹介します。自社の目的に見合う最適なシステムを導入するために、ぜひ参考になさってください。
WMSのメリットを得るには、自社の倉庫管理に最適な製品の選定が大切
WMSは、ただ無作為に導入しただけでは、自社にとって十分なメリットを得られない場合もあります。WMSの導入にはデメリットもあるため、想定される負担部分を自社で上手くカバーできるような製品を選んでいきましょう。
WMSの導入で何が可能になるのか?
WMSは、基幹システムや単独の在庫管理システムなどとはまた異なるシステムです。
WMSの製品によって機能の詳細は異なりますが、主に、入荷管理、出荷管理といった入出庫に関わる機能、在庫管理や棚卸管理といった庫内管理に関する機能、返品管理、帳票・ラベル発行などの庫内事務に関する機能があります。
商品を倉庫に入荷し、保管や在庫管理を行い、注文を受けて商品を取り出し梱包して出荷するといった、倉庫内の物流全般の作業効率を向上し、全体的な業務のサポートに役立つことが特徴です。
従来は手書きや手入力で行っていた管理を、バーコードやQRコードをハンディターミナルやスマートフォンで読み込むデジタル方式へ変更し、物だけでなく進捗状況も含めた様々な情報を倉庫内で正確に共有することが可能となります。
▼WMSについては、こちらの記事でも詳しく解説しています
https://www.taiyokogyo.co.jp/blog/tentsouko/a394
WMSのメリットとは?
WMSの導入で得られるメリットは、業務の効率化や、業務品質の向上、コストの削減など様々にあり、倉庫内作業が抱える複数の課題の解決が期待されています。
倉庫作業では、注文の内容を的確に理解して正しい商品を出荷することが大切ですが、そのためには複数の正確なチェックが必要です。しかし、全て目視確認で行っていると間違いが起きることも珍しくなく、作業員の知識や経験の差もトラブルに影響することがあります。
WMSによって正確な情報を各作業員へリアルタイムで共有し、適切なルールに則った統一的な作業内容を提示することで、こういった人的なミスの削減に役立つでしょう。また、WMSの活用にあたって複雑な業務が標準化されやすくなるため、知識や経験を問わず一定レベルの作業が実現しやすくなることもメリットです。
このように倉庫内の作業内容や手順が変化することで、時間や手間の節約につながり、業務効率化や業務品質の向上につながります。また、特定の人を選ばず従来よりも少人数で業務をこなせる可能性が生まれることで、人件費削減につながることもよく挙げられるポイントです。
▼WMSのメリットについては、こちらの記事でも詳しく解説しています
物流倉庫の悩みを解消する管理システム【WMS導入のメリット・デメリットとは?】
WMSのデメリットとは?
WMSの導入にはデメリットも考えられるため、企業の負担が導入前よりも大きくなってしまわないように、適切な取り入れ方を選択することが大切です。
WMSの導入後、効果的に活用できるまでには、作業員がシステムや操作に慣れるための時間や経験が必要になります。そのため、導入してすぐに業務効率化につなげるのは難しいでしょう。個々の作業員がWMSに慣れて、使いこなせるようになるための準備や対応が必要です。
また、WMSの活用で将来的にコストを減らせる可能性は大きくあるものの、設備費や教育費など導入にあたってのコストはかかります。WMSの導入では、基幹システムとの連携が必要になる場合もありますが、連携にも手間やコストが必要になるでしょう。
自社にあまり適合しないWMSを選んでしまうと、こういったデメリットだけが目立ってしまう可能性も大きくなります。そのため、デメリットをカバーするためにも自社に最適なWMSを選ぶことが大切です。
WMSの提供形態「クラウド型」「オンプレミス型」「パッケージ型」で選ぶ
WMSには、提供形態の種類があります。提供形態は製品によって違い、利用のしやすさやコストが異なるため、あらかじめ確認し自社の希望に沿う形態を把握しておくと製品を選びやすくなるでしょう。以下では、それぞれの提供形態の概要を解説します。
クラウド型のWMS
クラウド型のWMSは、WMSのシステムをインターネット経由で利用するところが特徴です。そのため、自社内に設備を構築する手間が省け、手間をかけずに素早く開始できることや、他の形態と比較して初期費用を抑えられることなどのメリットが挙げられます。
コスト面では、サービス提供会社に月額料金や年間料金といったかたちで定期的に支払うことで利用でき、月額にして数万円~数十万円程度で運用可能となります。
ただし、既にベンダー側で構築済みのシステムを利用するためカスタマイズ性が低く、自社に見合うシステムへと細かく調整することは難しい場合があるため、導入したシステムに合わせて業務運用の方を調整しなければならなくなる可能性もあります。
また、関連諸業務を含めてシステム上の操作はすべてインターネット接続が必須となるため、オフラインでは利用できないことも特徴です。
オンプレミス型のWMS
オンプレミス型のWMSは、WMSのためのサーバーを自社内に構築するところが特徴です。カスタマイズも突き詰めて行えることから、既に活用している社内独自のシステムと連携したいときにも使い勝手が良いでしょう。
導入時の機器購入やネットワーク整備などで数百万円かかる場合もあり、総じて初期費用が高額となりやすく、環境を整えるまでに時間を要するという難点もありますが、費用や利用までのスピードよりも、自社独自環境との親和性や、自社のセキュリティ要件を重視する場合には向いています。
また、サーバーやシステムの運用や保守が必要になるため、それらの対応が可能な人材も配備する必要があるでしょう。ハードウェアやソフトウェアなど、システム周りの環境を常に整えて管理することもポイントです。
こういった諸経費も導入費用に関係する事柄ですが、長期的に見るコスト比較では一概に高くなるとはいえない部分もあります。コスト面も含めて、今後の展開を視野に入れた計画的な検討を行うと良いでしょう。
パッケージ型のWMS
パッケージ型のWMSも、自社内にサーバーを設置するという特徴があり、オンプレミス型と共通している面があります。ただし、パッケージ型のWMSは、オンプレミス型ほどのカスタマイズ性の高さはないことが殆どです。
機能・仕様などが予め製品としてパッケージングされているため、決まった内容をインストールして導入します。そのため、運用の自由度という面ではオンプレミス型よりも劣るでしょう。
パッケージ型は、オンプレミス型よりも比較的簡単に導入できるため、システム内容に特別なこだわりがない場合や短期導入の場合などに役立ちます。オンプレミス型よりもコストを抑えられる場合がありますが、初期費用に数百万円かかるケースも少なくないため、製品の機能や運営する予定期間のコストなども踏まえて、慎重に検討して選ぶことが大切です。
システム連携や業種など、自社の環境に合ったWMSを選ぶ
WMSは、自社との相性も大切なポイントです。既存システムとの連携がしやすいかどうかや、自社の業態や業種に適しているか、規模は適切か、なども選ぶ際に意識して、自社にとって最適なWMSを見つけましょう。
自社の利用するシステムと連携しやすいWMS
WMSは導入していないけれど、他のシステムは活用している、という場合も多くあるでしょう。例えば、他のシステムとしては、基幹システムや在庫管理システム、配送管理システム、販売管理システム、受注管理システムなどがあります。
WMSは倉庫管理に特化したシステムですが、様々なデータを扱うことから、既存システムとの連携によってより活用しやすくなるのも特徴です。
そのため、現在活用しているシステムとAPI連携ができるものなど、連携しやすいものを選ぶこともポイントです。ただ、全てのシステムと連携させようとすると難しいこともあるでしょう。
その場合は、連携させたい既存システムの優先度や、WMSで置き換えできるシステムなどを考えながら柔軟に検討するとより良い業務環境作りに役立ちます。
自社の業態や業種に合ったWMS
WMSの製品は、各企業の業態や業種によって、相性の良いものとあまり良くないものが存在します。そ
のため、自社の業態や業種に適した内容のWMSを選ぶことは重要なポイントです。業態や業種の特徴によって、倉庫管理で重要視されることが異なるため、主に管理したい機能が備わっているものを選ぶようにしましょう。今後のビジネスプランに沿って、今までの課題を改善できそうな機能に注目することも役立ちます。
例えば、製造業で食品を扱う場合は、賞味期限や消費期限のデータ管理に優れた機能があると良いでしょう。通販業でアパレルを扱う場合は、サイズや色の違いで保管する場所を多岐に分けて管理する必要があり、流行などによって商品価値が時間と共に変化することも一般的なため、在庫管理機能の柔軟性が高いシステムが役立つことがあります。
自社の管理したい規模に見合うWMS
WMSは機能が多ければ多いほど良いというものでもなく、自社に必要な機能だけをそろえ、無駄なコストをかけないことも運営上必要なポイントです。とはいえ、反対に機能が少な過ぎて、事業目的を達成できないものでは意味がありません。そのため、自社の管理したい倉庫の規模に見合った内容のWMSであるかも、意識して選んでみましょう。
また、利用においては、いかに簡単に使えるか、カスタマイズ性を駆使して使えるか、といった利用方法の規模によっても選び方は異なります。
汎用的なシステムはカスタマイズによって自社に適したものにアレンジできる可能性がありますが、新たに発生する費用や、専門知識のある人材が必要になる場合もあるでしょう。そのため、利用範囲の規模もあわせて検討すると役立ちます。
機能の充実度・使いやすさ・サービス面もチェックして比較
提供形態や自社の業種に必要な機能など、相性の良いWMSの概要が見えてきたら、個々の製品について、機能面や使いやすさ、サービス面などもチェックして比較してみましょう。
WMSの機能は個々の製品によって異なるため、利用したい機能が備わっているかどうかをチェックする必要があります。
ロケーション管理機能やピッキング機能、請求管理機能、同梱物管理機能、オフラインで使えるハンディターミナルの機能、多言語対応など、細かく見ていくと様々な機能があるため、自社の倉庫管理でより便利に使いこなせるものを選ぶと生産性の向上や業務効率化に役立つでしょう。
使いやすさではシステム自体のカスタマイズ性も影響しますが、実際の使用場面における操作性もポイントです。製品によって操作性は異なるため、自社の作業員にとって使いやすいものを選ぶことも意識してみましょう。操作性など実際の活用の様子は、製品の導入事例からも情報を集めることができ、実績情報も同時に得られるため参考になります。
また、WMS製品を提供する会社のサポート体制やサービス面を確認することもポイントです。WMSは様々な機能を持つシステムである分、導入後にトラブルが起きることも想定しておくと良いでしょう。そういったトラブル時に対応してくれるサポート体制が充実していることもWMSの使いやすさにつながります。
▼WMSの機能については、こちらの記事でも詳しく解説しています
WMS・倉庫管理システムの仕組みや機能をご紹介! ~導入に役立つメリット&デメリットも含めた基本情報一覧~
WMS選定の前に、自社の導入目的や課題の確認を
さて、ここまではWMS自体の特徴に焦点を当てて選び方を解説してきましたが、実際にWMSの選定に入る前には、自社の導入目的や現在の倉庫管理で抱えている課題を明確にしておくことも大切な事柄です。
例えば、入荷の段階で効率の悪さがみられる、ピッキングに時間がかかる、在庫管理が混乱している、検品時にミスが目立つなど、各作業のシーンで問題を感じている部分があれば、詳しく洗い出してみましょう。
業務効率化を妨げている部分を明確にして見える化すると、どのような問題をWMSのどのような機能で解決したいのかも情報を絞って探せるようになり、自社に最適なWMSを選びやすくなります。その際に、費用対効果もあわせて検討しておくと、コスト面での負担を考慮する上でも役立つでしょう。
WMS導入とコスト削減の実現に向けて、太陽工業の「テント倉庫」もおすすめ
WMSの導入で倉庫管理作業の業務効率化をはかるためには、コスト面で妥協できない場合もあるでしょう。そういった場合には、倉庫自体にかかるコストを削減し、余裕が生まれた分をWMS導入費用に利用するのもひとつの方法です。
太陽工業の「テント倉庫」は、コストを抑えながら、かつ短期での設置が可能なため、急なニーズにも対応しやすくなっております。テントの種類も豊富にあり、寒冷地から豪雪地域に適した積雪に耐えるタイプなど、個々の地域に特化したニーズにも応えることが可能です。
作りたいテント倉庫のイメージに合わせて、最適なプランを提供いたします。また、イメージが固まっていない場合でも、用途をお伺いし、ご一緒に相談しながら最適なプランをご用意しますのでご安心ください。
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自社に最適なWMSを見つけて、スマートな倉庫管理へ
普段当たり前のように行っている倉庫管理も、散在する様々な課題をシステムで解決することで、大幅な業務効率化や管理負担の軽減へとつなげられます。WMSの導入で、よりスマートで負担のない倉庫管理を目指しましょう。
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