太陽工業コラム
環境保全への世界的な視線が集まるなか、
リーディングカンパニーである太陽工業の使命とは何か?
取り組んでいるのは、太陽電池と膜の融合による製品開発プロジェクト。
成功を収めれば、電力供給のシステムは変貌を遂げ、環境保全を一新する扉が開かれる。
今回、製品の創造に情熱を注ぐ中川原英亜(以下、中川原)に話を聞いた。
中川原 英亜(なかがわら えあ)
技術研究所 2021年入社
未踏の領域へ、熱意と努力で挑み、未来の環境を開拓する。
環境との調和をはかる、太陽電池と膜素材の融合による製品の創造に情熱を注ぐ中川原。
彼女は託されたこの使命に、入社わずか4年目(インタビュー当時)でありながら、挑戦を続けている。
情熱と努力、揺るぎない決意で、一つひとつの課題を乗り越えている。
中川原:
2021年、私は社会人として新たなスタートを切るために、太陽工業に入社しました。現在は技術研究所に所属し、協力会社と共同で未来志向の新製品や技術の開発に全力を傾けています。私の目標は、地球環境への配慮を重視したカーボンフリー製品の開発と、リサイクルやリユースの促進を通じて、持続可能な未来を築くこと。とくに、膜屋根に太陽電池を取り付けるというアプローチに力を注ぎ、その確立に向けて日々研究と実践に励んでいます。
膜は柔らかくて、ふわふわとした特性を持つ素材。一方で、従来の太陽光パネルは重くて硬く、通常はコンクリートの屋根に設置されます。しかし私たちは、その常識を覆したい。柔軟な膜屋根と柔らかいフィルム状の太陽電池を組み合わせる手法の研究を進めています。
この取り組みは、新たなエネルギー技術の発展に向けた重要な一歩。継続的な研究と努力が不可欠です。というのも、太陽電池の関連製品の開発は今始まったことではなく、私が入社する前から存在しており、太陽工業において長期にわたり検討されてきたテーマだからです。
難しさを痛感することも多いですが、それでも取り組みのなかで、太陽電池と膜構造の組み合わせに対する関心がさらに高まり、情熱と野心も生まれました。なぜなら、この開発が実現することで、電力供給に革命をもたらし、私たちの地球への貢献が相応に大きいと確信していたからです。先輩たちの助言に励まされ、新たな夢に向かって一歩を踏み出しました。
今回のプロジェクトは膜構造建築に発電機能を追加することです。これまで利用されていなかった建物の屋根や壁面の面積を有効活用し、発電能力を高めることができます。これは大きなメリットです。
膜屋根と太陽電池の革新で脱炭素社会に貢献。
ゼロエネルギー建築の可能性を追求する。
脱炭素とSDGsに向けて、中川原は太陽電池と
膜素材を融合させた技術革新に情熱を傾けている。
目指すのは、未利用スペースを活かし、
日常のエネルギーを生み出すゼロエネルギーの未来を築くこと。
それは災害時の電力供給から日々の自給自足までの新たな挑戦だ。
中川原:
脱炭素やSDGsなど、環境への配慮が求められる昨今、膜と太陽電池を組み合わせた技術がどのように貢献できるかは、私たちの重要な課題です。既にさまざまな手法が研究されています。
発電効率に関しては硬質の結晶型パネルに比べて、フィルム状の太陽電池パネルが必ずしも優れているわけではないことは事実です。
しかし技術の進歩により、特殊な膜と太陽電池を組み合わせることで、建物の未利用スペースを活用して電力を生み出せるようになりました。この方法で、建物が自分で必要な電力を全て賄い、エネルギーを外部から買う必要がない「ゼロエネルギーハウス」や「ゼロエネルギービルディング」を実現できることが期待されています。
災害時に電源供給ができることも期待しています。たとえば建物単位で電力供給をまかなうことができれば、地震のときの電力供給がその場で行えるようになります。太陽光発電は火力発電のように大規模な電力供給はできないかもしれませんが、供給が少なくても、携帯電話やラジオなどの電源をまかなうだけでも大きなメリットになるのではないでしょうか。公共施設に避難してきた方々が手軽に充電できることで、情報が枯渇することがなくなるも理想的な在り方の一つといえます。
太陽電池の製品を調査するなかで、他社が太陽光パネルを使用した休憩スペースを提供しているのを見つけました。そこには電源ポートが設置されており、自由に充電できるという取り組みがなされていました。そのアイデアがとても良いと感じ、参考にしたいと思っています。
弊社にはチューブを膨らませるだけで素早くかつ簡単に設営できる画期的なハイブリッドエアテント「マク・クイックシェルター」という製品があります。緊急・災害時に素早く簡単な設営と、コンパクトな収納が可能で、災害対策本部や救護所をはじめとする幅広い用途に即応力を発揮しています。その壁面に沿わせてフィルム状の太陽電池を設置する検討も過去に行っております
加えて壁面や外装への組み込みも検討しています。そういった箇所に太陽電池を取り付けることで、より広い面積を太陽光発電に利用でき、エネルギー収集の潜在能力を広げます。
また膜は、大きなパネルよりも格段に軽いため、重量が理由で取り付けが難しかった箇所にも迅速に対応できることもメリットといえるでしょう。その象徴が膜屋根で、実現すればさまざまな場所にエネルギー供給の安定に繋がるのではないでしょうか。
これらの取り組みは、想定以上に持続可能なエネルギーの進化と新たなエネルギー源の開発にとって極めて重要です。軽量な太陽電池技術は、建築やインフラストラクチャーにおけるエネルギー効率の向上に大いに貢献し、将来の環境に配慮したエネルギーソリューションの発展に寄与します。これこそ太陽工業がリーディングカンパニーとして進むべき道であり、その重要性は計り知れません。
太陽電池の柔軟性と効率向上への挑戦。
情熱とチームの協力で未来のエネルギーを進化させる。
柔軟性と効率向上の課題に挑み、持続可能なエネルギーへの革命を目指す中川原。
完成への道のりはまだ半ば。
情熱と経験豊富な先輩たちの助言を支えに、未来への展望を持ち続けている。
中川原:
太陽電池の柔軟性を保ちつつ効率を高める研究が重要です。フィルム型の太陽電池は曲げに強い反面引っ張りに弱く、柔軟な膜との組み合わせが課題です。フィルム状の太陽電池の効率が向上すれば環境への貢献と電力供給に大きな影響を与え、太陽光発電より効率的な利用が可能になります。これにより、持続可能なエネルギー供給が実現し、より効果的な活用が期待できます。だからこそ、私は今後の研究の進展が楽しみであり、環境負荷を最小限にしながらエネルギー供給の改善を実現できると期待しています。この進歩は、環境保護とエネルギー効率の向上に大きく貢献すると信じています。
日々の研究において、様々な課題を抱えながらも私は前向きな姿勢を保ち、多岐にわたる業務に積極的に取り組んでいます。社会人として、太陽電池の開発に関連する複数のプロジェクトを同時に進め、異なる部署や企業との連携による進捗管理に励んでいます。
多忙な日々の中でも、経験豊かな先輩たちに支えられ、定期的な進捗報告を通じて、プロジェクトの方向性を定め、問題解決に取り組んでいます。先輩方の指導のもと、確実にプロジェクトを推進することができています。、しかし時には心が折れそうになり、落ち込んでしまうときもあります。そんな時の、先輩方からの「あなたの力が必要」という励ましの言葉が、大きなモチベーションとなっています。またプライベートでの時間も大切にしており、時々、カラオケでリフレッシュし、楽しく気分転換しています。日々の葛藤やさまざまな感情と向き合いながらも、モチベーションを維持するために工夫をしています。
これらの経験を通じて、私は太陽電池と膜素材を組み合わせた製品の開発において、重要な役割を果たし、目標達成に向けて着実に進歩していると感じています。周囲のサポートと自身の努力で、環境に優しいエネルギー解決策の実現に向けて、貢献していきたいと思っています。
来年、あるいは再来年に製品販売を開始できるよう、日々の努力を続けています。現在はまだスタートラインに立ったばかりです。外堀を少しずつ固めながら、技術的な検討についても同時に進行しています。
変革を担う技術の進化を遂げながら、学びを深め、自身の成長を促す。
太陽電池の研究を通じ、さらなる知識と技術を手に入れるために邁進する中川原。
勉強会で共有される知識、設備の管理と改善、
チームの協力でモチベーションを高め、成長が加速する。
太陽工業の社風であるチャレンジできる環境に喜び挑戦は続いている。
中川原:
太陽電池の研究に限らず、弊社にはこれまで蓄積された膨大な情報と技術があります。それらを最大限に活用するために、私は実践を通じて自分自身の手で知識や技術を身につける必要があります。その一環として、他部署の先輩が主催する勉強会に積極的に参加しています。
勉強会では、太陽工業で長年にわたり技術を磨いてきた先輩が、膜材料に関する知識をレクチャーしてくれます。こうした経験を通じて、私は会社全体で共有される共通言語を学び、知識が組織全体に浸透することの重要性を実感しています。この勉強会はオンラインで行われ、週に2回実施。毎回およそ40名の社員たちが参加し、一緒に学び、成長しています。
開発はチームで取り組んでいますが、私たちのチームには経験豊富な人が多いので心強く、チャレンジ精神が旺盛なメンバーが揃っています。しかも各々がテーマを推進していく力が備わっており、私も皆さんのように開発を進めていく力を培っていきたいです。
実は入社前から、太陽工業は会社説明会や面接のなかで、チャレンジできる環境が整う社風を感じていて、私はそこに惹かれたことが入社の決め手になりました。
自分が挑戦したいと思っていたことがまだできていない部分がありますが、弊社はチャレンジを奨励する社風が根付いています。開発分野に限らず、100周年プロジェクトなど多岐にわたる取り組みが積極的に進められています。このような場で推進力を持った仲間たちがリーダーシップを発揮し、活動していることに、少し圧倒されながらも、この恵まれた環境に身を置けることに喜びを感じています。
未達の目標があることは、自分自身をモチベートする要素でもあり、新しい挑戦に向けての準備と成長の機会と捉えています。弊社の挑戦的な社風と共に、これからも新たなチャレンジに挑み、成果を積み重ねていきたいと考えています。