太陽工業コラム
日本の物流は今、危機的状況にあります。
今後、生産年齢人口の減少により、トラックドライバーや海運の担い手など、物流業界の労働力不足はさらに拍車がかかることが予想されています。 総合物流施策大綱(2021年度~2025年度) 概要によると、物流業の労働生産性は2015年度の2000円/時から、2018年度の2025円/時と変化は少なく、全産業の2018年度の3602円/時と比較しても物流の労働生産性は大きく下回っています。
ここ数年の生産性が停滞していることから考えると、このまま将来にわたって生産性が改善されず、労働力の減少が続いた場合、将来モノが運べなくなる事態が起きかねない危機的状況に物流業界はさらされています。
モノが運べなくなるかもしれない背景
近年では、荷主事業者や消費者のニーズの多様化によって、多頻度小ロット化が進み、今後ますます物流需要が増えていくことが予想されています。一方で、供給面では公益社団法人鉄道貨物協会の試算によれば、2028年度にはドライバーが27.8万人不足すると予想されています。
物流の現場では、慣行としてドライバーが荷物の積み下ろしや積込みなど荷役作業による重労働や、長時間労働、低賃金などが原因で担い手不足が起こっています。 さらに2024年から罰則付きの時間外労働の上限規制が適用され、ドライバー一人当たりの仕事量が制限されるほか、賃金低下による離職からドライバーの供給量はさらに縮小することが懸念されます。
将来モノが運べなくなる事態に備えて、ドライバーの環境改善を目的に、商流と物流を一体的に捉え、発着荷主、物流関係者が一体となり、これまでの前提条件を見直し、労働力不足の問題に取り組む必要があります。
(第118回 トラックドライバーが10年後に27.8万人不足する? | 日本生命保険相互会社 (nissay.co.jp))
持続可能な物流に向けて取り組むべき施策とは
今後も、モノが届く社会を維持していくために、国土交通省は、総合物流大綱の中で労働力対策として、「担い手にやさしい物流」を実現させるべく、今後取り組むべき施策を7つ挙げています。
担い手にやさしい物流
(1)トラックドライバーの時間外労働の上限規制を遵守するために必要な労働環境の整備
トラック運送業における輸送効率・生産性の向上は急務である一方、これをトラック運送業だけで達成することは困難であり、荷主の理解と協力が不可欠です。
荷主都合による長時間の荷待ち、契約にない附帯作業などが発生しており、これらの時間を減らすことができれば、トラックドライバーが運送に専念できる時間を確保でき、今後の物流の持続可能性は高まります。国として、サプライチェーン全体でリードタイムの延長や最低納品単位の取り決めなど商習慣の見直しを進めるとともに、長時間労働の原因となっている検品作業や荷役の分離の推進などに取り組み、さらなる改善に向け荷主との交渉や働きかけを進めていきます。数値目標として、ドライバーの年間所得平均の向上、平均労働時間を全産業平均まで引き下げることを掲げています。
(2)内航海運の安定的輸送の確保に向けた取組の推進
トラックドライバー不足や労働時間規制等を背景に、モーダルシフト貨物の輸送による輸送量の増加を図るために、船員の労務管理体制に係る見直しや、船舶管理業の登録制度による輸送の効率化・コストダウンを目指します。
(3)労働生産性の改善に向けた革新的な取組の推進
トラック積載効率を上げるなど物流業の労働生産性を2025年度までに2018年度比2割向上させることを目標に、マッチングやデータ共有システムなどでデジタル化を促進させ、共同輸配送のさらなる展開、倉庫シェアリングの推進などを具体的な方法として掲げています。
(4)農林水産物・食品等の流通合理化
農林水産物・食品等を適正価格で安定的に供給するため、共同物流拠点の整備や、自動化・省人化を推進するとともに、パレット規格や外装の標準化、パレットの運用ルールの確立等によるパレット化を促進します。生産から販売に携わる各関係者が物流事業者と連携するとともに新しい関係性を構築し、合理化、効率化を後押しすること掲げています。
(https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001413868.pdf)
(5)過疎地域におけるラストワンマイル配送の持続可能性の確保
過疎地域における物流網、機能を維持していくために、路線バス、コミュニティバス、道の駅等を拠点とした自動運転、ドローン物流など、過疎地域における効率的な配送を行い地域に住み続けられる環境を整備します。
(6)新たな労働力の確保に向けた対策
女性や若者、高齢者等の多様な人材の確保・育成が図られるよう、働き方改革を推進し、多様な人材が活躍できる職場環境を整備します。
多種多様な人材の確保・育成に当たっては、経験やスキル等を重視した労働慣行だけに頼らない業務のあり方の検討も重要であり、物流 DX の推進により、AI や IoT 等新技術を活用することで、オペレーションの定型化や標準化を進めます。
(7)物流に関する広報の強化
物流を物流事業者だけではなく、社会全体の共通認識として位置づけるため、一般消費者、経営層に対し、物流の危機の現状や物流事業に従事する労働者の社会的価値、2024 年度から適用されるトラックドライバーの時間外労働の上限規制、「将来モノが運べなくなる」というリスクについて、広く認識や課題の共有、解決方策について理解の浸透を図り、持続可能な物流の確保の重要性について社会の共通認識を高めることを掲げています。
太陽工業が取り組む担い手にやさしい物流とは
物流の非効率と重労働を生んでいる主な作業は「荷役作業」です。荷役作業とは物流の過程における荷の取り扱い作業全般のことで、トラックから荷物を下ろすことに始まり、出庫するまでの一連の作業のことを指します。
一連の作業の省力化・時間短縮に一役買って出るのは太陽工業の「スリットコンテナ」です。 荷役作業の中でも手積み・手降し・手作業積み替えの荷役作業をなくし、省力化・時間短縮を実現します。
スリットコンテナは、フォークリフトによる荷物の移動や積み下ろしをパレットを用いずに行うことができます。スリットコンテナはパレットと比較すると、軽量でコンパクトに折り畳め、フォークリフトで吊ることで積み下ろしができ、使用後は即時回収ができます。さらに、積載効率も圧迫せず回収コストもかかりません。
物流業界における最大の課題は労働力不足であり、この事態を生んでいる主な原因は荷役作業の非効率です。手荷役作業は非効率な重労働であるがゆえに、従事できる方が限定されており、健康を害する恐れのある危険な業務です。これらを解消することで、担い手にやさしい物流を実現し、物流業界の新たな労働力の確保や労働生産性の向上につながるため、業界全体で早急に根本的な改善策を実施する必要があります。
まとめ
物流業界のこれまでの状況が続くと、現状の物流サービスが提供不可能となることは避けられません。 今こそ、「担い手にやさしい物流」を実現するために、物流業界全体で現状を認識し、物流の担い手がゆとりを持って働ける魅力的な産業に変わることが重要です。 それには、従事者の社会的な価値向上と、労働力不足の原因を解決していくことが必要です。
太陽工業では、スリットコンテナのほかにも物流課題を解決するソリューションを提供しております。物流のトータルサービスを行う専門スタッフにまずはご相談ください。
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