太陽工業コラム
画像改ざんを防止する仕組み│電子黒板で業務効率化
2017.05.26
現場の進捗や出来栄えを確認するための写真台帳。
現在も手書きのチョーク書き黒板を用いての撮影が主流ですが、最近では電子黒板が普及し始めています。でも「電子黒板のメリットは分かっていても実際の利用に不安がある」といった声がよく聞かれます。あるいは「関係者の意向で使えない」なんていう事情もあるかもしれません。
電子黒板の一般的普及にはいくつか課題がありますが、そのうちの一つが”画像の改ざん”ではないでしょうか。電子黒板=画像の編集というイメージも少なからずあると思います。
今回は、国交省でも利用されている電子黒板のメリットと、画像の改ざんではないことを証明する仕組みについてご紹介します。この記事を読んだ後には、電子黒板への不安はなくなるはずです。
電子黒板を使いこなして写真台帳を自動作成できれば作業が一層楽になります。
電子黒板のメリット
従来の手書き黒板に比べ、電子黒板にはいくつかのメリットがあります。
- 一人で現場写真を撮影できる。
- 狭い場所や危険な高所に黒板を持ち込む必要がなくなる。
- 写真台帳に黒板と同じ内容を二度打ちする手間が省ける。
特に台帳の写真右側に記入する文章はほとんどの場合、黒板に記載した内容と同じです。黒板にも文章を書いて、写真撮影後に台帳にも同じ文章を入力するのは二度手間です。
黒板に記入した内容が自動で台帳に転記されれば、作業はとっても簡単になります(もちろん変更が必要な写真は修整が必要になりますが)。
電子黒板を使って台帳を自動作成するツールは世の中に相当数出ていることもあり、使い方をマスターするのはそう難しくないと思います。
写真台帳の文章は黒板の内容と同じケースがほとんど
だから電子黒板は不安
一方で「電子黒板=画像の編集」というイメージを持たれる方も多いかと思います。公共工事で提出する写真台帳は、画像の加工が一切認められておらず、それもあって電子黒板そのものが画像の編集にあたるのではないかという疑問が出てくるということです。
また電子黒板の場合、一見しただけでは「画像を後から編集しているのではないか?」といった疑問の余地が残るため、提出先に敬遠されるケースもあると聞きます。そういった疑問や指摘を受けたときに画像を編集していないことを証明する手段がなければ、結局は電子黒板は使えないということになります。
電子黒板への文字入力が慣れないことも重なり、電子黒板の利用に踏み切れない方も多いのではないでしょうか。
画像の改ざん防止機能とは
今年2月から国土交通省の直轄工事で電子黒板の利用が認められました。それまでの長い期間、”電子黒板を用いた画像が改ざんされていないこと”を証明することが大きな課題でした。
この課題に対し2017年2月には、具体的な技術基準をもとに仕様が決まり、画像の改ざんを検知する仕組みが確立しました。この技術基準は公開されており※1、画像の改ざんを検知するチェックツールも一般財団法人JACICより公開されています※2※3。
この技術に対応して、改ざん防止の仕組みを持ったソフトウェア(=国土交通省直轄工事に対応可能な電子黒板機能を持つソフトウェア)もまた一覧※4で公開されています。
※1 「電子政府推奨暗号リスト」(https://www.cryptrec.go.jp/list.html)
※2「チェックシステム(信憑性チェックツール)」(https://dcpadv.jacic.or.jp/photofinder/pac_auth.php)※ページ下部より無償でダウンロード
※3 JACIC:一般財団法人日本建設情報総合センター
※4「デジタル工事写真の小黒板情報電子化対応ソフトウェア」 (https://www.cals.jacic.or.jp/CIM/sharing/pdf/software%EF%BD%882904.pdf)
具体的に「改ざん防止を証明する機能」とはどのような仕組みでしょうか。
jpeg等の画像ファイルには、画像データを格納する領域と、”撮影日”や”撮影場所(GEOコードなど)”等のメタ情報と呼ばれる付属データを格納する領域の2つが存在します。
画像の改ざんも2種類考えられ、一つは画像をペイント等のソフトで加工して画像データを編集するものです。もう一つはメタ情報を変更するもので、やり方によっては履歴を残さず撮影日などを変更することができます。(画像上の)電子黒板の撮影日を書き換えて過去の写真を現在撮影したかのように用いるのは、前者の改ざん方法となります。
JPEGのメタ情報「撮影日」。やり方によっては変更できる。
国土交通省が電子黒板の研究を委託している「JACIC」 主催の協議会では、このような画像ファイルの改ざんに対し”ハッシュ関数”と呼ばれる計算式で対応しています。
ハッシュ関数とは、データを一定の計算式によって固定長の値(ここでは分かりやすく数値)に置き換えるもので、置き換わった数値は”ハッシュ値”と呼ばれます。
ハッシュ値から元のデータを復元することは不可能で、異なるファイルから同じハッシュ値が生成される確率も天文学的に小さいため、改ざん検知やファイルの同一性確認などに広く使われています。
工事写真の撮影時に”ハッシュ値”を生成して、改ざん防止を担保する
改ざん防止の仕組みを持ったソフトウェアでは、例えて言えば、改ざんを検証するための鍵穴を作っていると表現できます。チェック時に鍵を作り直し、鍵が合うかどうかで検証します。鍵が合えばOKと判断します。鍵が合わないということは故意かどうかは置いておいて、改ざんがあったと判断します。この鍵穴は撮影直後に自動で作成されます。
改ざんを簡単チェック
画像の改ざんを検知する仕組みは、”ハッシュ関数”をもとに作られていることを説明しました。このチェック機能を持ったツールはJACIC(一般財団法人日本建設情報総合センター)のHPから無償でダウンロードできます(JACICのHP)。
その他にも、電子納品や写真整理のためのツールで、このチェック機能を持った製品もあります(ソフトウェア一覧)。
注意しなければいけないのは、対応ソフトウェア以外で撮影したjpegファイルはチェックできないということです。ハッシュ値は鍵をかけれられて格納されていなければいけませんので、この鍵と計算式を持ったツールで撮影した画像でなければハッシュ値が格納されません。
つまり、改ざんを検知する仕組みに対応したソフトウェアで撮影しなければチェックできない、画像改ざん防止の証明ができない、ということです。
実際に、改ざんを検知する仕組みに対応していないソフトウェア(デバイス)で撮影した画像を、JACIC(デジタル工事写真の信憑性確認)チェックツールにかけてみます。結果は「チェック対象外ファイル」と判定されてしまいました。
対応ソフトで撮影していない画像は「チェック対象外」と判定される。
無償で工事写真を撮影できるモバイルアプリ「ミライ工事2」は、改ざんを検知する仕組みに対応しています。
「ミライ工事2」で撮影した写真と、それを加工したものをチェックツールにかけてみます。操作はいたってシンプルで、チェックしたい画像を選んで実行ボタンを押すだけです。
チェックの結果はダイアログで表示され、ここでは、”正常ファイル”と”異常ファイル”に振り分けられました。結果をまとめたCSVファイルも出力されますので、どのファイルがNGだったのか一覧で確認することができます。
チェックツールの操作はシンプル。画像を選んでチェックを実行するだけ。
明日から使える電子黒板
ここまで改ざん防止の仕組みを簡単にご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。チェックツールの存在と仕組みを理解しておけば電子黒板の利用に不安はありません。
また、お気づきの方もいると思いますが、この改ざん防止の仕組みは電子黒板とは直接関係がありません。あくまでも ”電子黒板が画像の加工ではないこと” を証明するための仕組みであり、従来のチョーク書き黒板で撮影した写真にも改ざん防止チェックの仕組みは適用されます。
無料で写真台帳を自動作成できるアプリ「ミライ工事2」では、電子黒板・チョーク書き黒板の両方の撮影モードに改ざん防止機能を盛り込んでいます。
さらに電子黒板には、”入力に手間がかかる”という課題がありますが、「ミライ工事2」には履歴機能があります。これまで入力した内容が自動で記録され予測表示されます。使えば使うほど作業はラクになるということです。
「ミライ工事2」については「【無料台帳アプリ登場!!】現場/工事写真を簡単に整理で手間いらず⁈」も合わせてご覧下さい。
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