太陽工業コラム

蓄冷材の購入・使用で確認しておくべき事とは

要冷品を保冷ボックス(バッグ)で運搬する場合、蓄冷材は必須でしょう。ただ、蓄冷材は正しい使用方法で使わないと蓄冷材本来の保冷性能を発揮できません。
製品がしっかりと保冷されていなければ不良品としてお客さんからのクレーム、そして在庫損失となります。
配送業車へのクオリティーを求められる近年では、こういったミスや問題をいかに削減できるかが今後のビジネス拡大、安定に繋がります。
この記事では、蓄冷材の購入を検討されている方向けにチェックしておいてほしい点をご紹介していきます。

1 蓄冷材の仕組み

長い時間保冷できる蓄冷材の仕組みについて、少し触れておこうと思います。各社によって使用している化学物質が異なる場合がありますが、基本的には、水に化学物質を混ぜたものをプラスチック容器に充填したものが一般的です。

水だけだと、融点は0℃ですが、化学物質を混ぜることで融点を変化させます。融点とは、個体が液体になる温度です。

小学校のとき理科の実験で、塩水をドライアイスで冷やしていくと温度が0℃になっても凍らなかったと思います。あれは塩水(塩化ナトリウム)を混ぜることで融点が0℃以下になったからです。

塩分濃度を強めれば強めるほど、融点は下がっていきます。蓄冷材でも同じように、化学物質の種類と濃度を調整して、様々な温度帯の蓄冷材を開発しているのです。調整された融点で一定時間、蓄冷材の温度が保たれます。熱エネルギーが蓄えられているとお考えください。

蓄冷材の熱エネルギーが失われるまで融点付近で温度を保ちます。蓄冷材を冷凍庫のような環境で保管すると、蓄冷材は熱エネルギーをため込みます。蓄冷材が蓄えることのできる熱エネルギー量には当然限界値があります。蓄冷材を冷気タンクと考えるとイメージしやすいと思います。

水と化学物質を混ぜるときに不純物が混入したり、汚い水を使用してしますとカビ発生の原因に繋がります。

また、蓄冷材の類似製品で、蓄熱材もあります。蓄熱材は融点が20℃とか40℃に調整されています。融点が異なるだけで、仕組みは蓄冷材と同じです。

2 蓄冷材の効果とは

蓄冷材の性能を簡略化して説明します。蓄冷材から出る冷気により、蓄冷材のまわりの空気が冷やされます。蓄冷材から遠い場所より、近い場所の方が冷やされやすいです。0℃蓄冷材を使用するケースですと、蓄冷材の周りの空気の温度は2℃ぐらいで推移します。

基本的に冷気は下の方向に向かい、また遠ざかる方向によっても冷え方は異なります。

保冷ボックス(バッグ)のポテンシャルを最大限活かすためには⁈

保冷ボックス(バッグ)と蓄冷材を併用する場合は、蓄冷材を上側にセットすることにより、効率よく保冷ボックス(バッグ)内を冷やすことができるのです。

ー18℃蓄冷材の場合は、冷やしたい商品と冷凍蓄冷材を密着させる方が商品温度の維持することができます。冷凍品は温度を冷やし過ぎても問題ないケースが多いので、商品に密着させる、もしくは商品を冷凍蓄冷材で囲むことをお勧めします。

2-1蓄冷材の使い方(予冷)

蓄冷材の予冷は非常に重要です。

なぜなら、正しい予冷を怠ると蓄冷材の保冷性能を発揮することが出来ないからです。冷蔵蓄冷材(0℃、500g)と冷凍蓄冷材(-18℃、500g)を例に説明していきます。

  1. 冷蔵蓄冷材(0℃、500g)の場合は、-15℃環境下で15時間以上は予冷してください。
  2. 冷凍蓄冷材(-18℃、1000g)の場合は、-30℃環境下で48時間以上は予冷してください。

オペレーションに適した蓄冷材を選定したとしても、蓄冷材を正しく予冷使しなければ蓄冷材本来の効果が発揮できません。

2-2蓄冷材の使い方(設置場所)

また、蓄冷材の設置場所も大変重要です。

なぜなら、蓄冷材の設置場所をかえるだけで保冷効果がずいぶんと変わるからです。先ず知っていただきたいことは、冷気は下の方に落ちていくということです。冷気が下に落ちていくので蓄冷材を天面に設置することは効果的です。

冷凍蓄冷材(ー18℃)の場合は、商品に直接くっつけるように商品上部に直に設置するのが最も効果的です。ただし、冷蔵蓄冷材では注意が必要です。冷蔵品の野菜等は、0℃の蓄冷材に長時間触れていると火傷を引き起こす恐れがあります。

商品の特性を理解しながら、最も効果邸な蓄冷材の設置場所を選択しましょう。

3 蓄冷材の種類

蓄冷材の種類といっても一概に言えませんが、温度帯とサイズによって様々な種類の蓄冷材があります。また、業者によってはオーダーメイドの蓄冷材を取り扱っていますので、業務に最適な蓄冷材をお使いされることオススメします。規定の温度帯・サイズであれば以下のタイプがございます。

1000gの蓄冷材を用意する際、1000gタイプを1枚、もしくは500gタイプを2枚を準備することになります。1000gタイプを1枚か?それとも500gタイプを2枚か?選択に悩まれると思います。

 

必要量の蓄冷材を準備する場合、蓄冷材枚数を少なくするほど、蓄冷材1枚のサイズは大きくなります。蓄冷材のサイズが大きいほど長持ちします。逆に、小さいサイズの蓄冷材を多く使うと即効性が高くなります。500gタイプと1000gタイプの特徴を理解した上で蓄冷材を選択することをおススメします。

大きいサイズの蓄冷材

【特徴】

長持ちしやすい

小さいサイズの蓄冷材

【特徴】

即効性がある

【蓄冷材の種類】*以下は代表的な蓄冷材タイプ

  • 500g、0℃
  • 500g、-16℃
  • 500g、-25℃

蓄冷材製品仕様

 

 

  • 1000g、0℃
  • 1000g、-25℃

蓄冷材冷凍タイプ仕様

4 保冷カバーを購入する際に確認する点とは

これまでご紹介してきたように蓄冷材と言っても様々ありますので、購入する際にはどのタイプが自社の業務に最適なのかを判断する必要があります。

もし、自社業務に適していない蓄冷材を購入してしまうと作業効率を下げてしまう事態になり兼ねませんのでしっかりとこの章で確認しておきましょう。

4-1 保冷機能は水準を満たしているか

自社の品質基準を満たす保冷機能がなければ意味がありません。そう言った意味でも購入を検討されている蓄冷材と保冷ボックス(バッグ)の組み合わせでどんな保冷機能があるのかの確認は欠かせません。

自社の業務内容からボックスと必要蓄冷材量を計算することができます。

  •  配送時間
  •  配送量
  •  どんな製品を配送するのか
  •  配送環境

以上の4点を購入する前に明確にしておくと、誤った商品を購入してしまうことも防止できるでしょう。

4-2 蓄冷材を予冷するための設備

蓄冷材を予冷するための設備の確認をしましょう。蓄冷材を使用するには、蓄冷材を予冷して凍結させるための設備が不可欠です。

保冷ボックス(バッグ)の設計を行い、必要蓄冷材量を計算したあと、実務では予冷作業が発生します。自社で冷凍倉庫をお持ちの場合は、大きな問題はありません。新たに冷蔵・冷凍物流を行う場合のコスト試算では、予冷設備の費用を把握することも大切です。

急速凍結庫といわれる設備購入費に加え、月々の電気代も発生します。

5 まとめ

これまで保冷ボックス(バッグ)と併用して使われる蓄冷材についてご説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?

まずは、蓄冷材を購入する前に

  • 必要蓄冷材量を求めるための使用環境情報
  • 輸送する商品情報
  • 予冷設備の有無

以上の3点を確実にした上で購入するようにしていきましょう。

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