太陽工業コラム

クールカーゴの購入・使用で確認しておくべき事とは

治験薬のような温度管理が厳しい製品の輸送には高性能な保冷容器は必須でしょう。

ただ、ドライアイスや蓄冷材を併用した保冷ボックスでは厳密な温度管理が難しかったりと多くの問題点を抱えてるケースも少なくありません。しっかりと保冷がされていなければ不良品としてお客さんからのクレーム、そして在庫損失となります。
配送業車へのクオリティーを求められる近年では、こういった課題をいかに解決できるかが今後のビジネス拡大、安定に繋がります。この記事では、電動式の高性能保冷容器を新しく購入を検討されている方向けにチェックしておいてほしい点をご紹介していきます。

1 クールカーゴの仕組み

クールカーゴとは、FPSCと断熱ボックスを組み合わせた電動式の高性能保冷容器です。

FPSC(フリーピストンスターリングクーラー)とは、従来のコンプレッサー式とは異なり、小型のリニアモーターで2基のピストンを動かし、充填されたヘリウムの圧縮/膨張を繰り返して冷却するシステムです。

FPSCはコンプレッサーと比較すると、冷却能力で劣ります。冷却能力は劣りますが、省エネ且つ一定温度をキープする精度に長けています。クールカーゴの消費電力は最大で80ワットです。

クールカーゴのボックス庫内が冷やされる仕組みをご説明します。先ず、下の写真にあり冷却部が冷やされます。冷えた冷却部に風を当てることにより、冷気をボックス庫内に循環させます。冷えた空気は排出口から出て、吸引口から吸われます。

また、FPSCは装備重量が軽く、コンプレッサー式より広範囲で高精度のインバーター制御で駆動するため、優れた温度制御が可能です。冷媒には人体に無害で地球温暖化をもたらさないヘリウムを使用しています。

クールカーゴに搭載されたPFSC(TB-40)は、オランダのグローバル・クーリング・BV株式会社とのライセンス契約に基づき、ツインバード工業株式会社が開発・製造したものです。

2 クールカーゴの効果とは

クールカーゴは、冷えた状態のものを冷えたまま維持することに強みをもった製品です。製品の種類にもよりますが、庫内温度が設定温度に落ち着くと、電源を確保している限りは半永久的に温度を一定に保ちます。

2-1 クールカーゴの性能(予冷)

クールカーゴの予冷は非常に重要です。
なぜなら、クールカーゴの庫内温度を下げるには時間を要するからです。

  1. 冷蔵タイプですと、100Lサイズを35℃から3℃まで下げるには約1.5時間要します。
  2. 冷凍タイプですと、100Lサイズを35℃から‐20℃まで下げるには約3.5時間要します。

コールドチェーン物流では、途切れることのない温度管理の実現を目指します。一時保管、輸送の両方でコールドチェーンを担うにはクールカーゴの予冷は大切です。

2-2 クールカーゴの使い方

クールカーゴを使用するには、電源を確保する必要があります。電源の取り方は、大きく3種類あります。

  1. 1つ目は、AC電源です。家庭用のコンセントから電源を確保することが可能です。ACアダプターがオプションで備わっていますので、100~240ボルトに対応しています。予冷するためや、一時保管するときにAC電源を使用するケースが多いです。
  2. 2つ目は、DC電源です。車のシガーソケットから電源を確保することが可能です。原則DC12ボルトですので、トラック等の24ボルトで使用するときにはコンバーターが必要です。
  3. 3つ目は、バッテリーです。クールカーゴとバッテリーを接続するコネクターを使用すれば12ボルトのバッテリーで稼動します。特殊な使用方法ですが、ソーラーパネルとの併用も可能です。

3 クールカーゴの種類

冷凍(-20℃)タイプ

冷凍タイプはサイズは1種類となります。

冷蔵(3℃)タイプ

冷蔵タイプは3種類となります。200Lタイプは天面が開くタイプ(TC200N)と前面が開くタイプ(TC-200NS)があります。

ブラッド(4℃と22℃の切り替え)タイプ

【サイズ】冷蔵(3℃)タイプと同じです。 70L 100L 200L(200Lタイプは天面と前面タイプの2種類)

ブラッドタイプは血液輸送向けに開発された商品です。他のタイプと異なり、スイッチで温度を切り替えることが出来ます。

4 クールカーゴの使用上の注意点

4-1 使用するときの外気温温度は5℃~45℃

クールカーゴは消費電力が少なく、温度を一定に保つ能力に優れていますが、冷却パワーはコンプレッサーに劣ります。ボックス容量が大きくなればなるほど、冷却パワーを必要と

4-2 ボックスが満載になるまで荷物を入れない

クールカーゴの仕組みで少しご説明しましたが、クールカーゴのボックス庫内は冷気が循環することにより冷やされます。排出口から出た冷気が吸引口に吸われる仕組みです。荷物を満載に入れてしまうと、冷気が循環しなくなり、ボックス庫内全体が冷えなくなってしまいす。

4-3 空輸便や船便では使用できない

クールカーゴを使用する際には電源を確保する必要があります。一般貨物の空輸便では電源を使用できません。また。船便でも電源の確保が困難な上に、赤道直下を通過するときの外気温に対応できません。

5 クールカーゴを購入する際に確認する点とは

これまでご紹介してきたようにクールカーゴと言っても様々ありますので、購入する際にはどのタイプが自社の業務に最適なのかを判断する必要があります。

もし、自社業務に適していないクールカーゴを購入してしまうと作業効率を下げてしまう事態になり兼ねませんのでしっかりとこの章で確認しておきましょう。

自社の物流オペレーションの確認

御社のオペレーションにクールカーゴが適しているかの確認が必要になります。クールカーゴは温度を一定に保つという長所があり、電源を確保する必要があります。御社でお使いの車から輸送中に電源を確保できるかを確認する必要があります。

・配送量

・どんな製品を配送するのか

・配送環境

例:治験薬を配送する会社さんの場合

A社は配送センターから配送先を5ヵ所まわるオペレーションを行っています。配送センターからは常温車(VANタイプで運転席のシガーソケットからコードで電源を確保することが可能)で1日(8時間)かけて配送を行う。夏場はクーラーをかけるので、車内の温度は30~35℃程度と推測される。治験薬はダンボール梱包されており、荷物量は最大で90L程度。治験薬は2~8℃での温度管理が必要で、過去に蓄冷材で運用していたが過冷却や結露の課題があった。

・配送量・・・ダンボール梱包されたボックスで90L程度

・輸送商品・・・治験薬(2~8℃で管理する必要あり)

・配送環境・・・VANタイプ(シガーソケットからの電源確保が可能、夏場は車内にクーラーをかけるので車内温度は30~35℃程度)

A社の場合ですと、クールカーゴ200NSタイプが適していると考えられます。VAN後方部を開けてクールカーゴの中の荷物(治験薬)を取り出す場合、天面開放タイプの200Nより側面開放タイプの200NSの方がスムーズに作業が出来ると考えるからです。内容量が最大で90Lですので100Nでも荷物は収まりますが、クールカーゴを満載にすると冷却効果が薄れてしまいます。

以上の例のように、自社の物流オペレーションを把握し、3点(配送量・輸送商品・配送環境)を購入する前に明確にしておくと、誤った商品を購入してしまうことも防止できるでしょう。

6 まとめ

これまでクールカーゴについてご説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?
まずは、クールカーゴを購入する前に

  • 配送荷姿、配送量
  • 輸送する商品情報
  • 予冷設備、配送中の電源、外気温を含めた物流オペレーション

以上の3点を確実にした上で購入するようにしていきましょう。

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