太陽工業コラム
高速道路や鉄道脇の防草を行う場合、一般的な方法は防草シート敷設や生コンクリート打設です。しかしこれらの方法は、それぞれ大きな課題を抱えています。 新たな解決策が求められる中、重機不要・人力施工・短工期で長寿命のコンクリート面をつくって防草を実現する画期的な方法が注目を集めています。
高速道路や鉄道脇における防草の実例と共に詳しくご紹介します。
高速道路や鉄道脇の防草における課題
防草シートの敷設もしくは生コンクリートの打設によって防草を行う従来の方法には、それぞれ重大な欠点があります。これを確認し、新たな解決策に求められる要素を定義します。
「防草シート敷設」による防草の重大な欠点
防草シートの敷設による防草の主な欠点は、短寿命に起因するメンテナンスコストの不効率性です。
防草シートの一般的な耐用年数は1年~5年程度です。中には10年を謳うシートもありますが、実態は使用環境による差が著しく、直射日光と風に常時晒される高速道路や鉄道脇においてはこの期間は短くなる傾向があります。 防草シートは特に紫外線による劣化が生じやすく、耐久性が低下した状態で車両が近くを通り抜けることで風圧がシートを吹き飛ばし、劣化による損傷が拡大したりシート片が飛散したりします。
1㎡あたり数百円程度で敷設できるためイニシャルコストの低さが魅力ではありますが、高頻度で再敷設を行うことでメンテナンスコストが跳ね上がります。
「生コンクリート打設」による防草の重大な欠点
防草シートの短寿命という欠点を解消するもうひとつのポピュラーな防草の方法が生コンクリートの打設です。コンクリートの寿命は50年程度であるためメンテナンスコストの効率性においては防草シートに勝りますが、一方で別の大きな課題が生じます。
生コンクリートの打設を行うためには現地に専用の重機を搬入し、交通規制をかけて、専門技能を持った作業員が時間をかけて工事をする必要があります。このコストは莫大であり、さらに現場の面積や形状によっては重機の運び入れが困難なことから、そもそも実施可能性が限定的であるというデメリットもあります。
高速道路や鉄道脇の防草方法に求められる要素
以上の情報を整理すると、高速道路や鉄道脇の防草方法に求められる要素としては以下のものが挙げられます。
- 長寿命
- 短工期
- 大型の重機不要
- 専門技能を持つ作業員不要
これを実現するのが、水をかけるだけでコンクリート面をつくる「コンクリートキャンバス」です。
「コンクリートキャンバス」とは
コンクリートキャンバスは、コンクリートと布地と遮水材によって構成されたシート状の複合材料で、敷設後に水を散布もしくは水中に浸けるだけで硬化し、コンクリート面を作り出します。
厚さは5mm~13mmで、特殊配合のドライコンクリートを3次元のキャンバス(繊維マトリクス織編物)とPVCシートでサンドイッチした薄い布地構造をしており、運搬から敷設まで重機を要しない施工性の高さが特徴です。
以下のような優れた特徴を有し、高速道路や鉄道脇の防草用途として、近年大きな注目を集めています。
コンクリートキャンバスの主な特徴
施工性:重機不要・専門技能不要・敷設して水をかけるだけ
コンクリート面をつくるのに必要なのは、コンクリートキャンバスと水だけです。 布地をロール状にした状態で運搬が可能なためミキサー車などの大型重機も必要なく、計量や練混ぜも不要で水量過剰となる心配もないため特殊な専門技能を持った作業員も必要ありません。
交通規制をかけることなく、場所も選ばず、きわめて短工期でコンクリート面を作れます。
耐久性:耐用年数50年・紫外線にも強くメンテナンスフリー
コンクリートキャンバスの材料は耐化学性と耐候性を有しており、紫外線による劣化もありません。また、一般的なコンクリートの約2倍の耐摩耗性を持ち、イギリスの促進劣化試験では、50年以上の寿命を示しました。 また優れた耐熱性能を有しており、BS EN 13501の火炎反応試験により、ユーロクラスBを達成しているほか、米国の鉱山安全衛生庁(MSHA)により30CFRパート7第B節セクション7.24 を満たしているとの承認も受けています。 一度敷設すれば、当面の間はメンテナンスフリーともいえる状態を実現します。
コンクリートキャンバスを用いた高速道路や鉄道脇の防草事例
コンクリートキャンバスは、既に多くの高速道路や鉄道脇の防草に用いられ、優れた効果を発揮しています。3つの施工実例を画像で紹介します。
東名高速道路(特定更新等)鮎沢パーキングエリアランプ新設工事
施主名 | 中日本高速道路株式会社 |
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施工場所 | 神奈川県足柄上郡山北町 |
使用数量 | 1,800 m² |
施工時期 | 2020年8月 |
▼施工前
▼施工中
▼施工後
大村地区道路維持補修工事
施主名 | 国土交通省 九州地方整備局 長崎河川国道事務所 |
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施工場所 | 長崎県諫早市 |
使用数量 | 100 m² |
施工時期 | 2015年9月 |
▼施工前
▼施工中
▼施工後
横浜線古淵~淵野辺防草工事
施主名 | 東日本旅客鉄道株式会社 |
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施工場所 | 神奈川県相模原市 |
使用数量 | 900 m² |
施工時期 | 2019年3月 |
▼施工前
▼施工中
▼施工後
まとめ
高速道路や鉄道脇の防草にはこれまで防草シートの敷設や生コンクリートの打設が方法として主に用いられてきましたが、耐久性やコスト面、施工性に課題がありました。 これらの課題を解消するものとして、水をかけるだけでコンクリート面をつくる「コンクリートキャンバス」が注目され、既に各地で採用されています。
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