太陽工業コラム

土木資材がデザイナー家具に?「コンクリートキャンバス」の無限の可能性

水をかけるだけでコンクリート面を形成できる膜「コンクリートキャンバス」。 主に河川の法面などの護岸保護工に用いられてきた先進的土木資材であるコンクリートキャンバスが、インテリアの世界でもまったく新しいデザインを生み出したとして話題になっています。

デザイナー家具としても活用されるコンクリートキャンバスの無限の可能性について紹介します。

コンクリートキャンバスとは?

太陽工業株式会社が提供するコンクリートキャンバスは、イギリスで開発された画期的な土木資材です。コンクリートと布地と遮水材で構成された厚さ5mm~13mmの薄い膜に水をかけるだけで、耐久性・水密性・耐火性に優れたコンクリート面をつくることができます。

従来のコンクリート工事は「時間がかかる」、「大型重機が必要」、「専門技術を持った作業員が必要」という課題を抱えており、特に災害復旧などの急を要する場面や、山間の護岸工事など狭小地における工事において長らく解決策が求められてきました。

そんな課題を解決した資材こそまさにコンクリートキャンバスであり、日本国内では特に台風被害対応などのシーンで迅速な補修を実現できるとして、すでに多くの行政で採用されています。

コンクリートキャンバスに命を吹き込んだ「8°WORKS(パッチワークス)」

コンクリートキャンバスを用いてまったく新しいスタイルのインテリアを手がけるのが、神奈川県平塚市にアトリエを構える「8°WORKS(パッチワークス)」です。
8°WORKS(パッチワークス)は、アーティストやデザイナー、建築士、宅建士など多彩なタレントが集まり、それぞれの技術やアイデアを持ち寄って新しい価値を創出するクリエイターの集団です。

>「8°WORKS(パッチワークス)」の公式ウェブサイトはこちら

8°WORKS(パッチワークス)は世界的にも珍しいコンクリートキャンバス製のインテリアを日本で初めて生み出しました。その作品の一部を紹介します。

CC Chair High/Low

まるで布地のような滑らかさを見せるコンクリートキャンバス。 コンクリートキャンバスのしなやかな美しさが引き立つCCチェアシリーズは、見た目は柔らかく、座るとほどよく硬いという、職人によって計算された絶妙な座り心地を実現しています。

土木資材であるコンクリートキャンバスに新たな命が吹き込まれたのです。

ローチェアタイプのものはスツールとして、インテリア小物を鮮やかに映えさせます。

CC Elephant

可愛らしいゾウをかたどったインテリアであるCC Elephantは、一枚のコンクリートキャンバスから切り出して作ってあります。キャンバスには画家によって手作業でランダムなペイントが施され、すべてが一点物の作品となっています。

十分な強度があり、5歳程度までお子様が椅子のように座って楽しむこともできます。

>「Concrete Canvas」についての詳細ページはこちら

CC triple clock

スケートボードを象ったコンクリートキャンバスに複数のクロックが時を刻みます。

ミラノサローネ出典作品 チェア

ミラノサローネは毎年4月にイタリアのミラノ市で開催される国際的な家具の見本市です。ミラノ大都市圏のロー市にある見本市会場フィエラ・ミラノにて、世界各国の最新の家具、インダストリアルデザイン、インテリアデザイン、テキスタイルデザインなどの展示が行われます。

この名高い展示会に出典されたのがこの作品です。 コンクリートの強度が、これまでにない新たな構造の発想を可能にしています。

優れたデザイン性のため、間近で見てもコンクリートの冷たさを感じさせません。

Neal Aronowitz氏による「Whorl Coffee Table」

コンクリートキャンバスを用いてインテリアを生み出しているのは8°WORKS(パッチワークス)だけではありません。

土木資材であるコンクリートキャンバスをデザイナーズ家具に生まれ変わらせたインテリアデザイナーのNeal Aronowitz氏。その代表作ともいえるが上図の「Whorl Coffee Table」です。

>Neal Aronowitz氏の公式ウェブサイトはこちら

これまで同様のデザインを実現しようと思うと、金属を用いた新しい鋳造技術や成形技術をを開発する必要があったそうです。Whorl Coffee Tableはコンクリートキャンバスの特徴を活かしてつくられ、コンクリートが従来有していた重々しいイメージを覆して軽やかで流線的な表現を可能にしました。

Neal Aronowitz氏によるその他のコンクリートキャンバス作品

代表作「Whorl Coffee Table」以外にも、Neal Aronowitz氏は多数のコンクリートキャンバス家具を手がけています。同氏の公式ウェブサイト(http://nealaronowitz.com/)から確認できる美しいインテリア作品の一部をここで紹介します。

WHORL CONSOLE

2018年の「Interior Design Magazine Best Of Year Award」、2017年の「Gray Award for Product Design」など数々の受賞歴を誇るのが、Coffee Tableと同じ「WHORL」シリーズであるこのWhorl Consoleです。

2017年のGray Awards審査員であったIngo Maurer氏も「信じられないほどの功績を実現した!」と、インテリア界における革新性を絶賛しています。

ENSO TABLE

日本の書道からインスピレーションを得て作られたというのがこのEnso Tableです。 書道では一度書き始めたらやり直したりはなく、決して再現することのない刹那が表現されます。

コンクリートキャンバスの軽やかさと耐久性を以てその感覚を家具として表わしているそうです。

TODOS TABLE

メキシコのブティックホテルのためにデザインされたというTodos Table。 簡単に動かせるほどの軽さと、屋内でも屋外でも十分な耐久性を持つように作られました。

シンプルでエレガントなデザインで、サイドテーブルとコーヒーテーブルの2種類のサイズが用意されています。

まとめ

コンクリートキャンバスの優れた機能性が、コンクリート工事とデザイナー家具という通常では決して交わることのないふたつの世界をつなぎました。これからどんな新たな活用方法が見出されるのか、私たち太陽工業も楽しみにしたいと思います。

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