太陽工業コラム

災害時応援協定を締結するメリットと事例。発災すぐに物資の納品も可能に

大規模な地震や台風などの災害が発生したとき、行政・自治体による非常用物資の迅速な手配が必要になります。しかし、いざ物資を手配しようとするとさまざまな承認や調整の手続きが必要となり、災害対応の混乱の中で早急な配備を行えないことが課題になっています。

この課題を解消して迅速な物資の調達を可能にする「災害時応援協定」について、この記事に概要、メリット、事例などをまとめました。

自治体の災害対応ご担当者様に向けた内容です。ぜひご覧ください。

災害時応援協定とは

災害時応援協定の定義について、まずはwikipediaの引用をご覧ください。

災害時応援協定(さいがいじおうえんきょうてい)とは、災害発生時における各種応急復旧活動に関する人的・物的支援について、地方公共団体(以下、「自治体」)と民間事業者や関係機関との間で、または自治体間で締結される協定のことである。

大規模な災害が発生すると、自治体の機能は一時的に著しく低下します。その状況で物資供給・医療救護・緊急輸送などの応急復旧活動を迅速に遂行することはきわめて困難であり、また正規の手続きを経ている時間的猶予もありません。

そこであらかじめ自治体と各種民間事業者が協定を締結し、非常時にも広範囲かつスムーズな応急復旧活動を実現しようとするのが災害時応援協定です。

災害時応援協定を締結するメリット

災害時応援協定を締結することにより、受援自治体は主に2つの大きなメリットを享受することができます。

  • 非常時に迅速な支援が受けられる
  • 金銭的なコストを削減できる

非常時に迅速な支援が受けられる

災害時には迅速な応急復旧の対応が求められることになりますが、たとえば「民間事業者による非常用テントの設置」などの基本的な対応の実施においても煩雑な承認手続きや関係各所との調整が発生し、対応に遅れが生じるリスクになります。 災害発生直後の混乱の中ではこの遅れはさらに顕著で、1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震、2018年の西日本豪雨などにおいて同様の課題は特に浮き彫りになりました。この反省から、各自治体では災害時応援協定の検討が年々活発になっています。

災害時応援協定を締結しておけば、災害発生の非常時においても事前の準備、計画により物資供給や非常設備設置などの迅速な支援を受けられるようになります。

金銭的なコストを削減できる

迅速な対応や手続きの省略のみならず、金銭的コストの削減も締結の大きなメリットのひとつです。特に保管に大規模なスペースを要する大型の資材・設備の提供を受けられることにより、スペース確保や買い替えなどのコストを削減して空間的・金銭的にコストを大幅に削減することができます。

災害発生時に必要になる資材の例

地震や台風の被害に対応する応急復旧活動において、自治体が手配しなければならない資材の例は以下のとおりです。
いかに大型の資材が多く必要になるのかがわかります。

プライバシー確保用の間仕切り

体育館などの避難所においてはプライバシー確保が大きな問題となるため、着替えや授乳などのための間仕切りが必要になります。

各種大型テント

屋外にプッシュ型支援物資の輸送対応拠点や事務局などを設ける場合、大型のテントは非常に活躍します。これは特に保管コストがかさむため、自治体だけで複数を常備することの難しい資材です。

医療・検疫用陰圧テント

新型コロナウイルス対策としての施設も必要であり、これには内部の環境をコントロールするための陰圧設備が求められます。

熱中症対策テント

特に夏季には避難所等において熱中症に対応できる空調設備を持った仮設設備が必要になります。

避難所用コインシャワー

衛生環境の保守のためには入浴設備が欠かせません。避難所などには仮設のシャワー設備が必要です。

災害廃棄物・瓦礫処理用の仮設施設

災害発生後には瓦礫などの廃棄物を処理しなければなりません。このとき飛散防止等の目的で仮設の囲いや大型テントが必要になります。

水際復旧工事用資材

特に台風や豪雨被害では河川法面の崩壊などが生じやすく早急な復旧対応が必要になります。このときの応急復旧工事資材は迅速に必要となるため、協定の締結による手配効率の向上メリットは絶大です。

太陽工業株式会社の取り組み

年々増加する協定締結民間企業の中においても、太陽工業株式会社は多くの協定締結・支援供給の実績を誇ります。

太陽工業は「膜構造物」の世界的リーディングカンパニーであり、巨大ドーム屋根に象徴される各種建築事業をはじめ、土木や物流、環境分野にまで製品を展開しています。 近年では各地で多発する災害時の緊急対応や新型コロナウイルス対策の医療用陰圧テント、お見舞い用防護スーツなどで社会の注目を集めています。

災害時応援協定で提供できる避難所や物資拠点への提案

災害時応援協定の締結にとどまらず供給の実績のある太陽工業が提案できる主な資材は以下のとおりです。テントを中心とした大型資材、プライバシーや衛生環境の確保、復旧工事、水害対応において特に優れたラインナップを誇ります。

マク・クイックシェルター

最短3分で誰でも簡単に設置でき、かつコンパクトに収納できるエアテントです。各種オプションが豊富で、緊急時医療対応や熱中症対策にも有効です。新型コロナウイルス感染拡大防止対策や西日本豪雨での応急復旧作業時における熱中症対策として活躍しました。

クイックパーテーション

わずか約30秒~1分間で設置できる間仕切りです。内閣府の災害用テント型パーティションとしても備蓄されています。

レッカーテント

レッカーで簡単に設置できる大型テントです。わずか30分程度で設置が完了し、風速20m/sの風にも耐えらる設計となっています。

BIG MQ

設営も撤収も迅速で、特に短期間の設置に適し、風速15mの強風にも耐えられる大型のエアテントです。展開後、約10分で立ち上がり、撤収も60分程度で完了します。

コインシャワー

工具不要の組立式コインシャワーシステムで、コインで入浴時間を管理することができます。上述のエアテントで囲むことで入浴時の着替えスペースを作ることができ、専用の冷暖房機と組み合わせれば更に快適な入浴設備となります。

マックスウォール

仮設の土留として使用できる箱型の連続鋼製枠です。鋼製枠の内側には不織布が取り付けられており、現地で広げ鋼製枠内に現地発生土、砂・砕石などを充填して使用します。セル単位(約1m)で自由に連結・分割・屈曲させて設置できます。

コンクリートキャンバス

マットを地面に敷設して水をかけるだけで、耐久性・水密性・耐火性に優れたコンクリート面をつくることができる応急復旧資材です。大型重機や専門技術者を必要とせず、短時間での復旧工事を可能にします。

デルタパネル

土のうの代わりに使用するシート状の止水ツールで、コンパクトかつ軽量・誰でも素早く設置可能・高い止水効果と耐久性などの特徴を持ちます。

タコム

法面保護工の工期を大幅に短縮する『布製型枠』です。場所を選ばずどこへでも簡単に持ち運びでき、特殊機械や技能、型枠工などがなくても敷設が可能です。敷設後、モルタル・コンクリートを注入することで耐久性に優れたコンクリート構造物を形成します。

2021年2月には熊本県とも災害時応援協定を締結した太陽工業

平成28年の熊本地震や2020年の豪雨災害への供給実績における反省と評価から、太陽工業は2021年2月には熊本県とも災害時応援協定を締結しました。 熊本地震では大型テントの無償提供をはじめ、上述のマク・クイックシェルターの提供や土木復旧工事も実施。豪雨災害ではオフィスカーやクイックパーテーションを提供しました。 蒲島郁夫熊本県知事からは以下のようなコメントも頂戴しています。

蒲島郁夫熊本県知事のコメント

災害時の初動対応として、避難所運営は非常に重要である。今回の協定により提供頂いた物資は、感染防止やプライバシー確保の観点から、コロナ禍における避難所の快適性において大きく貢献するものと考えている。県内のテント事業者のネットワークを活かし、災害時のスピーディーな支援をお願いしたい。太陽とそれぞれの強みを活かした相乗効果に期待している。創造的復興の歩みと共に、次の災害への備えをしっかりと行いたい。

太陽工業の災害時応援協定締結の実績

2023年2月現在、太陽工業は以下の61の災害時応援協定を締結しています。

協定先 都道府県 締結日
1 香南市、高知県テント・シート工業組合 高知 2017.10.13
2 中土佐町、高知県テント・シート工業組合 高知 2017.11.17
3 四万十町、高知県テント・シート工業組合 高知 2017.11.17
4 須崎市、高知県テントシート工業組合 高知 2017.11.17
5 高知県、高知県テント・シート工業組合 高知 2018.12.25
6 香川県テントシート工業組合 香川 2018.3.26
7 四万十市、高知県テント・シート工業組合 高知 2019.1.18
8 宿毛市、高知県テント・シート工業組合 高知 2019.1.18
9 安芸市、高知県テント・シート工業組合 高知 2019.07.17
10 枚方市 大阪 2019.12.09
11 日高町 和歌山 2020.01.28
12 土佐市 高知 2020.02.05
13 東広島市 広島 2020.02.10
14 徳島県テントシート工業組合(徳島県) 徳島 2020.03.16
15 竹原市 広島 2020.03.30
16 岩出市 和歌山 2020.05.01
17 奈良市 奈良 2020.05.01
18 尾道市 広島 2020.06.16
19 雲仙市 長崎 2020.08.05
20 大阪市 大阪 2020.09.09
21 秋田県 秋田 2020.10.13
22 橋本市 和歌山 2020.10.26
23 津市 三重 2020.10.28
24 倉敷市 岡山 2020.10.28
25 長与町 長崎 2020.11.02
26 氷見市 富山 2020.12.22
27 貝塚市 大阪 2020.12.22
28 和泉市 大阪 2021.01.07
29 加東市 兵庫 2021.01.12
30 茨木市 大阪 2021.02.05
31 七尾市、株式会社太陽テント北陸 石川 2021.02.17
32 熊本県、熊本県テント工業組合 熊本 2021.02.19
33 志賀町、株式会社太陽テント北陸 石川 2021.03.01
34 白山市、株式会社太陽テント北陸 石川 2021.03.01
35 田辺市 和歌山 2021.03.01
36 鏡野町 岡山 2021.03.16
37 稲沢市 愛知 2021.03.22
38 佐賀市 佐賀 2021.03.31
39 穴水町、株式会社太陽テント北陸 石川 2021.06.24
40 四日市市 三重 2021.07.21
41 平塚市 神奈川 2021.08.11
42 かほく市、株式会社太陽テント北陸 石川 2021.08.11
43 大分市 大分 2021.10.01
44 青森県 青森 2021.11.1
45 宮崎県 宮崎 2021.12.13
46 砺波市、株式会社太陽テント北陸 富山 2021.12.21
47 箕面市 大阪 2022.02.15
48 西宮市 兵庫 2022.02.16
49 茅ヶ崎市 神奈川 2022.02.18
50 米原市 滋賀 2022.02.22
51 安八町 岐阜 2022.03.24
52 田原市 愛知 2022.03.24
53 福井市、株式会社太陽テント北陸、福井太陽株式会社 福井 202204.15
54 加茂市 新潟 2022.04.19
55 小牧市 愛知 2022.07.06
56 可児市 岐阜 2022.08.04
57 洲本市 兵庫 2022.10.17
58 淡路市 兵庫 2022.10.17
59 南あわじ市 兵庫 2022.10.17
60 神戸市 兵庫 2023.02.10
61 奈良県 奈良 2023.02.20

まとめ

地震や台風など災害の多い国である日本では、自治体による災害時応援協定の締結は不可欠な対応策であるといえます。万一のときの受援や金銭的なメリットを享受するため、各自治体の災害対応ご担当者様はぜひ締結ご検討ください。

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