太陽工業コラム
建築物における天井は、温度や湿度を調整したり、音響を向上させたり、意匠性を高めたりと、様々な役割を果たしてくれる重要なものです。
一方、特に「吊り天井」と呼ばれる構造の天井においては、災害の天井落下の危険性など、耐震の面でリスクを考慮しなければならないデリケートな部分でもあります。
東日本大震災以降は、天井に対して政府が新たな耐震基準を設けるなど、天井の耐震性はますます求められるようになりました。
既存天井の耐震改修が急がれる今、その必要性と選択肢を改めて確認します。
地震がきたら危ない!落下危険性のある吊り天井、特定天井とは
東日本大震災で天井落下の被害が相次いだことを受け、政府は、吊り天井のうち一定の条件に当てはまるものを「特定天井」と定め、特定天井については新たに制定した耐震基準を充たさなければならないとしました。
新築の場合はもちろん、既存の天井についても改修が義務づけられています。 建物の所有者や建築責任者は、万一の危険がないよう、特定天井の定義を理解しておく必要があります。
特定天井の定義
「脱落によって重大な危害を生ずるおそれがある天井」のことで、次のすべてに該当するものが特定天井です。
- 吊り天井(直天井は特定天井に該当しない)
- 天井の高さ:6m超
- 面積:200㎡超
- 質量:2kg/㎡超
- 人が日常利用する場所に設置されている
体育館や空港など、大型の施設で該当する場合が多い天井です。
※特定天井について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
『「特定天井」の基本を徹底解説、建築士が抑えるべきルートとは?!』
特定天井は改修が必要
建物の天井が吊り天井であり、上記の特定天井に該当する場合、天井落下などの危険を避けるため、構造の見直しや既存天井の改修を行う必要があります。
新たに定められた耐震基準への適合性を確認するためには、政府の定めた「ルート」と呼ばれる検証方法を用いて天井の耐震性をチェックします。
既存天井の改修の主たる7つの方法や、新しい安全基準に則って改修を行った事例を、以下の記事で紹介しています。
事例の中でも紹介しているように、太陽工業では特定天井を改修する際に、耐震性や安全性を飛躍的に高める新たな選択肢として、「膜天井」をおすすめしています。
耐震天井の代替案として「膜天井」という選択肢
「膜天井」は、大空間であっても特定天井に該当せず、高い安全性を持つ天井構造です。
軽い・柔らかい・強い、という特徴を持っており、吊り材が不要で、室面積や天井高さに制限されることなく大空間をデザインすることができます。
既存の吊り天井の耐震性を補強するには、新規にぶどう棚やブレースを新設するなど、多くの部材を用いた大規模な工事が必要になります。
この方法では、天井落下の危険性を軽減することはできても、万一の落下の際の被害を抑えることにはつながりません。
そこで、既存の天井材を膜に置き換える膜天井が、有効な選択肢となってきます。 機能性にも耐震安全性にも優れる膜天井の特徴をご紹介します。
膜天井について詳しくは、こちらのページをご覧ください。