太陽工業コラム

和室天井を含む様々な天井構造の仕組・種類の紹介と耐震性の考え方

「天井」について深く考える機会はあまりないかと思いますが、その奥は深く、様々な構造や機能などがあります。

特定天井、耐震天井、吊り天井、直天井───湿度・温度調整、防音、明るさの確保、ホコリの落下防止───。天井の構造について全体を理解し、安全で機能的な天井を実現できるよう、必要な知識を簡潔にまとめました。

おもな天井の構造:直天井と吊り天井

天井の構造には大きく分けて2つの種類があります。「直天井」と「吊り天井」です。それぞれの特徴についてご説明します。

直天井の特徴

屋根裏や、上階の床裏にあたる部分に直接天井材を取り付ける構造の天井です。メリットとしては、天井の高さを確保できる、一部の建物では工事費が抑えられる、耐震性が高いといった点が挙げられます。

一方、天井裏スペースがないために、防音材を仕込むスキマがなくて防音性が低くなったり、設備のメンテナンス性が下がったり、デザイン性が限られたりするなどのデメリットがあります。

吊り天井の特徴

屋根裏にあたる部分から金属のボルトなどで格子状の枠組みを吊り下げ、その表面に石膏などの天井ボードを取り付けて仕上げた構造の天井です。

天井裏に空間ができるため、照明や空調、水回りなどの設備スペースを確保することができます。機能性やメンテナンス性に優れるので、特に体育館などの大型の施設の多くで採用されています。

ただし、安全性には懸念が残る場合があります。

東日本大震災の際に天井ボードが落下するなどの被害が相次いだため、大型施設の吊り天井については、2014年に政府より耐震性について新たな基準を設けられ、「特定天井」として一定の安全性が求められるようになりました。

天井構造の種類

天井の構造はさらに細かく分類することができます。ここでは8種類をご紹介します。

平格天井

書院造などの和風建築に用いられた天井の構造です。縁を格子状に縦横に組み合わせて正方形を構成します。

二重折上げ格天井

同じく書院造の建物や仏堂に用いられる構造で、天井を支える支輪を湾曲させて一段高くし、そこからさらに一段高くしたところで格天井を構成します。

さお縁天井

屋根の梁の上に左右に支材を組み合わせて、野縁とさお縁で天井板を十字で挟むように取り付ける構造の天井です。

打上げ天井

さお縁天井よりもさらに厚い板が使われた天井です。

ボード張り天井(クロス張り)

天井板を取り付ける細い横木である「野縁」と、それを支える野縁受けとを格子状に組み合わせて平面を構成し、そこに天井ボードを貼り付け、さらにクロスを貼って仕上げた天井です。

出典:『LIXIL 野縁受け

ボード張り天井(岩綿吸音板)

吸音、断熱、防火性に優れた不燃材である岩綿吸音板使用し、オフィスや店舗などによく用いられる構法で、上記のボード張り天井同様に格子を構成し、そこにロックウールの天井ボードを貼ります。

システム天井

特にオフィスや大型施設によく見られる天井で、天井裏に照明や配管、空調など多数の機能を持たせて、かつメンテナンス性を高めた構造です。

光天井

ガラスなどの透光性のある素材で天井面を広く覆った、意匠性の高い天井です。
博物館や美術館、大型の店舗などによくみられる構造で、明るさを多く取り込むことができます。

出典:『ABC紹介 光天井

気を付けたい耐震性

いずれの天井を検討する場合でも、特に注意したのは耐震性です。いかに機能性や意匠性に優れていても、災害時に危険が及ぶ心配があってはいけませんし、東日本大震災以降は、政府でも新たに耐震基準を定めて安全性を求められています。

吊り天井に該当する構造の天井においては、一定の条件を充たすものについて「特定天井」と定められ、特別な耐震安全性の確認が求められています。新築の建物はもちろん、既存の建物についても確認が必要です。

天井を検討する際には必ず知っておかなければならない特定天井について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

天井の耐震性とは?特定天井の基本を徹底解説 | 太陽工業株式会社 (taiyokogyo.co.jp)

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