太陽工業コラム

適合証明技術者の登録抹消?【事例3選】アプリによる不正防止方法とは

住宅金融支援機構が行う中古物件の売買やリフォームに関する各種融資。

これらの融資は便利な半面、適合証明技術者による物件検査が必要となるものが少なくありません。その責任は重く、物件検査の際に不適切な行為が見られた場合、厳しい処分もありえます。

今回ご紹介するのは、特に重大過失とされた不適切事案で「適合証明技術者」の登録抹消処分が行われたケースです。これらの事例を知ることで、どのようにすれば再発防止に繋がるのか検討していきます。

1.適合証明技術者制度とは

適合証明技術者とは、融資希望者の依頼に基づき、融資希望物件が同機構の基準に適用しているか判定する技術者の事です。判定業務は書類審査と現地調査に寄ります。

法的には建築士法第23条の3に基づく建築士事務所登録をしている開設者です。加えて「適合証明技術者講習」を受講し、登録した者。なお登録の有効期限は2年です。また、適合証明技術者を認定したり、管理監督する制度は「適合証明技術者制度」と呼ばれます。

適合証明技術者は、住宅金融支援機構が行うフラット35(中古住宅)やリ・ユース住宅購入融資、リフォーム融資に際して必要な判定業務を行います。融資条件に関わる業務ですので責任は重く、規定違反については厳格な対応が行われています。それでは具体的な「登録抹消」事例について見ていくことにします。

「登録抹消」事案①

最初にご紹介する登録抹消の事例は、住宅金融支援機構の設けた技術基準に適合していない住宅に対し適合証明書を発行したケースです。そもそも対象住戸の現地調査が行われていないというものであり、この点も悪質とされました。

融資の前提となる「物件調査」において、現地調査が重要であることは言うまでもありません。さらに本件では関係書類の保管が行われておらず、適合証明業務に関する帳簿も存在しないという有様で極めて悪質なものとされました。結果、適合証明技術者は登録抹消・再登録永年拒否の処分を受けています。

悪質な適合証明書の不正発行だけでも適合証明技術者制度の信用を大いに失わせる行為に他なりませんが、関係書類の保管や帳簿作成さえも行われていないというのは意図的に証拠を消し去ろうとしたと疑われても仕方がありません。仮に適合証明書の発行が正当なものであっても、書類の管理がずさんなままでは、いずれ何らかの不祥事が発生したであろうことは明らかと言えます。

「登録抹消」事案②

次にご紹介する登録抹消の事例は少し複雑です。

まず、ある適合証明技術者が本来業務の範囲外であるマンションに関して適合証明書を発行しました。当然これは問題なので業務改善指示がなされ、改めて真正な適合証明書を提出させました。しかし、現地調査の結果、技術基準に不適合なものが発見されました。

本来、このような場合においては適合証明書は発行してはなりません。しかし、この技術基準を満たしていない物件に対して適合証明書が発行され、業務改善指示の際に真正なものとして提出されました。結果、適合証明技術者は登録抹消・再登録永年拒否の処分を受けることになりました。

本件は明らかに意図的な不正ですが、現地調査が適切に行われていて技術基準を満たしていたとしても、書類の様式などが整っていなければ受理されなかったり、不正とみなされる可能性があります。特に令和元年9月1日からの物件検査方法厳格化による添付写真の取り扱い規定に関しては、慎重な対応が必要となるでしょう。

令和元年9月1日から報告写真の取り扱いに関して物件検査方法が厳格化された

「登録抹消」事案③

最後にご紹介する登録抹消の事例は、調査写真に関わるものです。

マンション維持管理基準に違反しているマンションに適合証明書を発行したというものですが、さらに手すりの設置について現地確認せず写真確認のみで対応したというものです。また、帳簿の作成及び関係書類の保管も不十分でした。この適合証明技術者には登録抹消・二年間の再登録拒否の処分となりました。

写真の取り扱いについては、本件の他にも「手すり設置」の確認において実務手引きの定めによる検査方法によらず判定を行い適合証明書が交付された例があります。具体的には、未確認物件について他の手すり設置写真を使い回すなどの不誠実な行為です。このケースについても悪質なものと判断され、適合証明技術者は登録抹消・再登録永年拒否の処分が下されています。なお、本件は前項で述べた物件検査方法厳格化の直接の引き金ともなりました。

イメージ

登録取消しに至る悪質な事案は、その多くが意図的に行われたものと考えられます。しかし、物件検査方法の厳格化に伴い業務が増えれば、意図せざる不適正事案が発生するリスクは高くなります。モラル喚起は一つの方策ではあるのですが、それだけでは不十分でしょう。多忙から意図しない失敗に繋がることも充分考えられます。アプリ利用による時短などにより業務省力化を図ることが必要となります。

アプリ利用というソリューション

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