太陽工業コラム

【水害対策】迫る水害から地域を守る!被害を抑える対策ツール5選

近年、気候変動の影響で記録的な豪雨や台風が発生し、各地で避難勧告を伴う水害が多発しています。従前から様々な対策が取られていましたが、ここ数年の被害は想定を大きく超えることもあり、水害への対策には不足があると言わざるを得ない状況です。

水害対策に新たなソリューションを取り入れることはもはや必須であり、急務です。

この記事では、水害からの復旧や、河川・堤防の保護、浸水対策など、様々な場面に対応する製品をご紹介します。ご紹介するものは、どれも軽量・小型などの利便性を兼ね揃えており、どのような地域や環境でも活用しやすい製品です。

各自治体の担当者の方や工事関係者の方々にとって、きっと役立つ内容ですので、ぜひご確認ください。

太陽工業株式会社の水害対策製品5選

ご紹介する製品は、すべて太陽工業株式会社の製品です

 

太陽工業株式会社は創業約100年を誇るメーカーで、テントなどの膜素材を中心に高い技術を用いた様々な資材を開発・提供しています。以下の製品も、膜素材の技術を最大限活用した従来の概念に捉われない水害対策製品です。

以下の5つの製品を順に詳しくご紹介します。

  1. 【散水する事で硬化する特殊シート】コンクリートキャンバス
  2. 【現地発生土が使用可能な高耐久仮設土留工】マックスウォール
  3. 【大型重機不要のコンクリート護岸工】タコム
  4. 【人力で設置できる浸水対策用止水壁】デルタパネル
  5. 【堤防決壊対策シート】ブリーザブルシート

1.【散水する事で硬化する特殊シート】コンクリートキャンバス

日本は狭い国土ながら山間部や河川が多く、水害が発生することで被害が拡がりやすい傾向があります。河川や水路、山道などが崩壊してしまうケースが各地で発生しており、被害の拡大や二次災害を防ぐため、崩壊面は早急に補修することが求められます。 コンクリートキャンバスとは、法面保護工などに最適なコンクリートシートです。

コンクリートキャンバスの特徴

コンクリートキャンバスは、厚さ5mm~13mm程度の薄い布地を地面に敷設して水をかけるだけでコンクリート面をつくることができる、シート状の補修材です。簡易的かつ高機能な製品であり、特に以下のポイントにおいて優れています。それぞれご説明していきます。

  • 高い施工性
  • 耐久性
  • 環境性
  • 耐火性

高い施工性

従来のコンクリート工事は、重機や専門技術を持つ作業員が必要であったり、工期に時間がかかるといった難点がありました。 一方、コンクリートキャンバスを用いる場合、必要なものは「水」だけです。人力による運搬が可能で、大型重機は不要。コンクリート特有の計量や練混ぜも不要で、水量過剰となることもありません。そのため、専門技能を持たない方でも施工できるといったメリットがあります。 そして、重機や下準備、専門技術者も不要となれば、作業時間やコストの大幅な削減にも繋がります。 また、硬化前は柔軟性に優れたシートであるため、どのような形状の地形にも追従し、雨天時や水中(淡水・海水問わず)でも施工できるといった汎用性も特徴です。

耐久性

コンクリートキャンバスの材料は耐化学性と耐候性を有しており、紫外線による劣化もありません。また、一般的なコンクリートの約2倍の耐摩耗性を持ち、50年超の寿命を示した実証実験の例もあります。また、同実験では200回の凍結・融解にも耐えるという結果を残しており、耐久性に関しては申し分ない水準です。

環境性

コンクリートキャンバスは、一般的なコンクリート資材と比較して、すり減り量が少ないという大きな特徴があります。この特徴によって以下のような点に寄与することが可能で、環境性に優れています。

  • 材料削減によるCO2排出の削減
  • 水中での流出が少ない
  • 遊離アルカリが少ない
  • 時間経過によって緑化も可能

耐火性

耐熱性能の高さもコンクリートキャンバスの特徴です。用途によっては、防火層としても使用することが可能なほどの性能を有しています。炎が表面に拡がらず、煙の発生を少なく抑えられ、有害ガスの放出も最小限に抑えることができます。

コンクリートキャンバスの用途事例

施工も簡単で柔軟性にも優れたコンクリートキャンバスは、様々な場面や現場に対応が可能であり、既に多くの利用実績があります。

災害復旧(土のう被覆)

水路工

防草

法面保護

じゃかご保護

2.【現地発生土が使用可能な高耐久仮設土留工】マックスウォール

豪雨や台風による水害は、河川の崩壊や土砂崩れなど様々な被害に繋がります。このような被害は放っておくと更なる被害が出る恐れがあるため、復旧工事や対策が必要です。 従来の復旧工事においては、土留などの目的で木柵・現場コンクリート打設・蛇かご、大型土のうなどが利用されてきました。しかしこれらの資材・工法は、以下のような様々な課題を抱えています。

  • 費用や工期がかさむ
  • 熟練された技術が必要
  • 運搬や設置に大型の重機が必要
  • 耐久性が低く、修繕や補強を頻繁に必要とする

このような問題を解消できる新たな仮設工として、より効果的かつ利便性の高い「現地発生土が使用可能な高耐久仮設土留工」というものがあります。

現地発生土が使用可能な高耐久仮設土留工とは

現地発生土が使用可能な高耐久仮設土留工は、じゃかごに代わる、仮設工の土留として使用できる連結した箱型の鋼製枠です。枠の内側に不織布が貼られており、内部に砂・砕石・現地発生土などを充填して使用するもので、自由に連結・分割・屈曲させて設置できるという特徴があります。耐久性も非常に高いため長期仮設にも最適で、工期も短く、安定性も高いという利点を備えています。

マックスウォールの特徴

マックスウォールは、長期にわたる仮設工としても最適な、現地発生土が使用可能な高耐久仮設土留工です。亜鉛メッキ鉄線を溶接したメッシュ状のカゴを連結したもので、内側に中詰材のこぼれ出しを防ぐ耐候性不織布が貼られています。具体的な特徴は以下のとおりです。順にご説明します。

  • 運搬や設置が簡単
  • 現地で中詰材の充填が可能
  • 耐久性・一体性・止水性を確保
  • 堤防かさ上げにも活用可能

運搬や設置が簡単

マックスウォールの最大の特徴は、「折りたためる設計」です。折りたためることで運搬もしやすく、現地で素早く展開して設置を行えます。もちろん重機も不要です。 コンクリート打設や蛇かごなどと違って特殊技能を持つ作業員も必要とせず、誰でも設置可能な構造になっています。

また、1ユニットあたりが独立したセルを連続させた構造で、これを自由に分割・連結させることができるため、設置個所を選ばない点も大きな利点です。段積みや屈曲も可能なので、様々な地形にも柔軟に対応可能です。 作業経験のない5名の作業員で対応した場合でも、1日で約40mの設置が可能。従来の大型土のうと比べて、約25%の工期短縮が可能です。

中詰材を選ばない

マックスウォールは、内側に貼られた不織布によって現地発生土を充填して使用することが可能です。砂や砕石も使用可能なので中詰材の持ち込みを必要とせず、施工性・汎用性にも優れています。

耐久性・一体性・止水性を確保

一般的な大型土のうは約半年~3年程度が使用限度であるのに対し、マックスウォールの陸上における耐用年数は10年と長期の使用にも最適です。また、鋼製枠の連結によって外からの力にも強く、16kNの力がかかっても一体性を維持できます。 さらに、セルの連結部分は不織布が貼られていない設計で、土砂などの中詰め材が連続する仕様となっています。この仕様により、土のうでは実現できない高い止水性能も確保しています。

堤防かさ上げにも活用可能

水害後の復旧工事のみでなく、堤防のかさ上げにもマックスウォールは活用できます。堤防のかさ上げは、従来は用地の確保や工事を含めて長い年月をかけなければならないものでした。これに代わり、暫定的な堤防高の確保としてマックスウォールを活用することが可能です。約10年の耐用年数と一体構造による高い止水性を備えているため、堤防としての役割にも最適な製品です。

3.【大型重機不要のコンクリート護岸工】タコム

水害における被害が大きいものとして、山間部での土砂災害や河川での災害が挙げられます。地形が崩壊するほどの大きな被害に関しては、型枠を用いてコンクリートやモルタルを打設する「法面保護工」や「三面水路工」が必要です。しかし従来の工法には、以下のような課題がありました。

  • 従来の型枠では、地形によっては対応が難しい場合があった
  • 型枠設置に熟練した技術が必要で、時間もかかる
  • 大型重機の乗り入れが必要なケースが多く、対応が困難な現場が発生していた

このような問題にも対処可能な製品が、「布製型枠」タコムです。

タコムの特徴と利点

タコムは、合成繊維製の袋状のマットで、生コンクリートやモルタルを注入することで一定の厚みをもつコンクリート面を簡単にすばやく形成できる「布製の」型枠です。軽量かつコンパクトで、柔軟性に優れた性能を有しています。 具体的な特徴として、以下の4つが挙げられます。

  • 簡単な施工方法により工期の短縮が可能
  • 場所を選ばない多様性
  • 高い耐久性
  • 経済性(50H(5cm厚)約6,000円/㎡前後)

簡単な施工方法により工期の短縮が可能

タコムの施工方法は非常に簡単で、現場でマットを敷設してその周囲を固定するだけで、すぐにコンクリート(モルタル)の注入が可能です。広範囲であっても半日~1日程度で敷設が完了するため、従来よりも工期を大幅に削減できます。作業自体も簡易的であり、対応に必要な人員も削減できます。 また、軽量かつコンパクトなため施工に重機を必要とせず、人力で運搬・設置が可能です。その他にも水中や海中でも施工が可能という特徴もあり、あらゆる場面で柔軟な対応ができます。

場所を選ばない多様性

タコムは軽量かつコンパクトで柔軟な構造であるため、木製型枠や張りブロックなどの従来の工法と異なり、施工場所を選ばず使用することができます。 形状は現場に合わせて工場加工をするため、様々な地盤の凹凸によく馴染み、多様な地形に対する施工を実現可能です。また、適用できる法勾配は最大1:10程度と、勾配に対しても広く対応します。

高い耐久性

従来のコンクリートブロック張などと比べて、タコムのマット面は大きく作られており、波や水流などに対して高い耐久性を発揮します。

経済性

タコムを使用する場合、5cm厚のコンクリート面を1㎡形成するのにかかる費用はわずか6,000円前後です。型枠の設置や専門人員の手配、クレーン等の重機の手配が不要であるため、コストの削減にも繋がります。

4.【人力で設置できる浸水対策用止水壁】デルタパネル

豪雨や台風による影響は、山間部や河川のみではなく市街地などにも及びます。近年では想定を超えた浸水被害も各地で多発しており、今後に備え浸水対策を早急に検討したいといった方も多いかと思います。 従来では多くの場合、水防壁として主に土のうを使用していましたが、効果や利便性に課題がありました。そこで、ここでは土のうに代わる浸水対策の資材として、デルタパネルという浸水防止のパネルシートをご紹介します。

土のうの課題

土のうは様々な場面で活用できる資材として長く利用されてきましたが、実態としては現場で負荷となるようなデメリットも有しています。土のうの主なデメリットは以下のとおりです。

  • 袋の耐久性不足により長期の備蓄・保管が困難
  • 準備や設置作業に時間を要する/span>
  • 土のう間の隙間から水漏れしやすく、止水効果に限界がある

このような問題を抱える土のうは、急を要する災害時対応には最適とは言えないでしょう。

デルタパネルの特徴と機能

太陽工業のデルタパネルは、上述した土のうの課題点も解消した、浸水防止に最適な製品です。デルタパネルの主な特徴として、以下の5点が挙げられます。

  • コンパクトな作りで軽量なため保管も容易
  • 誰でも素早く設置できる
  • 高い止水効果と耐久性
  • 再利用が何度でも可能
  • 場所を選ばず利用できる

それぞれ具体的にご説明します。

コンパクトな作りで軽量なため保管も容易

デルタパネルの特徴の一つとして、シート状である点が挙げられます。シート状であることにより未使用時には小さく丸めて折りたためるため、場所をとらずに保管や備蓄が可能です。また、1枚あたりのサイズは高さ60㎝・幅110㎝とコンパクトで、重量もわずか2.5kgと非常に軽量です。

誰でも素早く設置できる

デルタパネルは設置が簡単で、手間がかかりません。シートを立ち上げてパイプを挿入するだけで作業は完了する設計で、誰でも容易に対応することが可能です。特別な経験や技能、他の資材や工具なども一切必要なく、およそ10分で設置が完了します。

高い止水効果と耐久性

デルタパネルの膜素材部分は合成樹脂製で、高い防水性と大きな力にも耐えられる強度を備えています。また、生地同士の接着面は溶着して一体化されているため、水を漏らさない仕様となっています。各パネルの連結する場合の結合部分も、二重の止水ファスナーを用いることで浸水を防ぎます。 使用している膜素材は引き裂き強度も高く、70kg~80kgの力にも耐えられます。これは、一般的なテントなどに用いられるシートの約5倍超の強度です。

再利用が何度でも可能

一般的な土のうと違い、デルタパネルは使い捨てではなく乾かして解体・保管をすることで、何度でも再利用することが可能です。そのため経済的にも優しく、一度手配をしておけば、万が一水害が連続した場合でも対応できるという利点があります。

場所を選ばず利用できる

デルタパネルは複数のパネルを横に連結できる仕様のため、狭い間口や広い開口部など、どのような広さの場所でも対応できます。さらにシート状であることから、凸凹のある設置面であっても馴染んで面に密着させることが可能です。どんな場所に対しても止水効果を発揮できる柔軟性は、土のうには無い大きなメリットです。

5.【堤防決壊対策シート】ブリーザブルシート

河川の多い日本では、豪雨によって河川堤防が決壊してしまうという被害も多く発生しています。堤防は一度決壊してしまうと、復旧に多大な時間と負担がかかります。いつ襲ってくるか分からない水害に対しては、極力未然に防げる対策が早急に求められます。ここでは、河川の堤防決壊を防ぐ対策として「ブリーザブルシート」という最新技術を用いた資材をご紹介します。

堤防決壊のメカニズム

日本の堤防の多くは、盛土によってつくられた「土提」です。土堤は、、浸透による強度低下や流水による洗掘、越流による侵食などが発生しやすいといった面を有しています。 堤防決壊の原因としては、主にに越水、浸透、侵食・洗掘の4点が挙げられ、その中でも、越水後に裏法面から浸食されることによって発生するケースが大半を占めています。 すなわち、決壊対策としては越水による裏法面からの浸食を防ぐことが肝心です。

ブリーザブルシートの機能と特徴

裏法面の浸食を防ぐためには、少なくとも以下の機能を備えている必要があります。

  • 防水性
  • 透気性
  • 接合部の防水性

しかしながら、従来の製品では防水性はあるものの、エアブロー(間隙空気圧)を防ぐ透気性を欠いていたり、もしくはその逆など、必要な機能のいずれかに欠いていました。 一方、ブリーザブルシートは「透気防水シート」と称され防水性と透気性の両方を有しており、従来の工法の課題を克服する性能を備えています。具体的にブリーザブルシートの特徴をご紹介します。

防水性と透気性を両立

ブリーザブルシートの最大の特徴は、その素材構成です。透気防水性シートを長繊維不織布製の保護マットで挟み込んだ三層一体型のシートであり、堤体内への雨水や河川水の浸透を抑制すると同時に、堤体内外の間隙空気の透過を可能にします。この防水性と透気性を両立している点が、従来の工法と比較して非常に有効と言えるポイントです。 この技術は、最新技術としてNETIS( 新技術情報提供システム)にも登録されています。

接合部にも防水性

遮水シートなど従来のシート資材においては、接合部から侵食されるケースが多く存在します。この問題を解消するため、ブリーザブルシートは現地での熱融着や接着剤による接合を可能にしており、接合部にも防水性を持たせています。 上述の防水性と透気性を両立しているだけでなく、接合部まで防水が可能なシートは「ブリーザブルシート」だけです。

ブリーザブルシートの活用範囲

『ブリーザブルシート』は、裏法面の保護を含めて主に以下の4つシーンで活用することを想定しています。

  1. 降雨による地表面からの堤体内への雨水浸透抑制
  2. 堤体内への河川水浸透抑制
  3. 間隙空気圧の上昇防止
  4. 超過洪水時(堤防越水時)の裏のり面の侵食防止

①降雨による地表面からの堤体内への雨水浸透抑制

②堤体内への河川水浸透抑制

③間隙空気圧の上昇防止

④超過洪水時(堤防越水時)の裏のり面の侵食防止

まとめ

水害対策の製品として、太陽工業製の5つの製品をご紹介しました。 それぞれが、従来の工法の課題点を克服した仕様であり、現行の数ある製品の中でも、最適解と言えるものばかりです。 水害対策を検討されている方は、ぜひこの記事をご自身の担当する現場に最適な対策選定にお役に立てください。 また、少しでもお悩みの点などあれば、まずは太陽工業へお問い合わせいただくことをおすすめします。この記事の内容に限らず、過去実績から培ったご提案とともに全力でサポートさせていただきます。

 

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