太陽工業コラム

【仮設工事事例】大型土のうを使わずに短工期・長期耐久の仮設擁壁を実現する方法

雨と山の多い国、日本。

大小規模の土砂崩れは頻繁に各地で発生しており、土留め工事や仮設待受け擁壁工事は、地方行政の日常業務となっています。

山道や林道で発生する土砂崩れは、本質的には法面をコンクリートで固めるなどの工事が必要ですが、自治体に与えられた時間や予算では、即時徹底した対応を行うことは容易ではありません。そこで、一般的には仮設工事が行われますが、ここにも課題があります。

 

コストメリットが大きいことから工事によく使われるのが大型土のうであり、これを運んだり設置したりするには、大型トラックやクレーンなどの重機を現場に乗り入れる必要があります。 ところが、現場である林道や山道は往々にして幅員が狭く、大型重機が使用できないことがあります。

また、大型土のうの耐用年数は長くても3年程度と言われており、仮設工事後も長期間設置している箇所では、補修工事が必要になる箇所も少なくありません。

このような課題を解消し、現場を問わない高い施工性による工期短縮、優れた一体性による安定性や長期耐久性を同時に実現するのが『連続箱型鋼製枠』です。一体性の強い仮設待受け擁壁を可能にします。 本稿で、この工法について写真付きの事例を交えて詳しく紹介いたします。 官公庁や地方自治体の土木事業関係者の方に、ぜひご覧いただきたい内容です。

連続箱型鋼製枠とは

ここで紹介する事例では、すべて連続箱型鋼製枠を採用しています。

連続箱型鋼製枠は、亜鉛メッキ鉄線製の格子状のパネルをコイル連結したカゴ(鋼製枠)を複数接続した構造で、分割・延長・屈曲させて設置できます。鋼製枠の内側に不織布を張り、現地発生土や砕石、栗石等を中詰めすることで、連続した土堤を簡単・迅速に構築でき、土留め、堤防嵩上げ工、仮締切工等に使用できます。

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連続箱型鋼製枠『マックスウォール』の概要と特徴

マックスウォールは、亜鉛メッキ鉄線製の格子状のパネルを使用しているため、10年程度の使用に耐える耐久性があり、長期間にわたる仮設工にも適しています。

このような高耐久や、中詰め材を選ばない特徴から、東日本大震災の被災地においては、砕石などの資材が不足し、現地発生土や瓦礫をリサイクルしたコンクリートガラなどを使用し、仮設土堤や盛土嵩上げの土留として導入され、海岸部で設置された実績があります。

その優れた特徴を以下、紹介していきます。

特徴1:安定性が高い

仮設工によく用いられる大型土のうは連結しておらず一体性がないため、外力に弱く、一カ所に荷重が集中すると倒れてしまうなど不安定な面があります。連続した鋼製枠のマックスウォールは、大型土のうの4倍以上の外力(約16kN)に耐えることができ、高い安定性を発揮します。

特徴2:土砂の連続性による止水性の確保

内側の枠(下図の赤枠部分)には不織布が貼られておらず、土砂などの中詰め材が連続することによって、大型土のうでは実現できない高い止水性能を確保することができます。

特徴3:耐久性が高く、長期仮設としても使用可能

大型土のうは約半年~3年程度が使用限度であるのに対し、マックスウォールは陸上・土中で10年以上、海水飛沫地域で5年程度の耐久性があります。 東日本大震災では、海岸部において護岸工や土留工として長期間仮設工として利用されました。

 

特徴4:中詰め材を選ばず、土砂・砕石・現地発生土などの充填も可能

土砂に限らず砕石や栗石なども使用でき、また、コンクリートの残存型枠としても利用できます。

 

特徴5:段積み・分割・延長・屈曲可能

標準サイズ(1ユニット)は、1m立法の鋼製枠(セル)が10個連続した構造ですが、これを自由に分割・延長・屈曲させることができるため、施工規模や現場状況を選びません。また、段積みも可能で、現地の形状に柔軟に対応できます。

 

特徴6:従来の大型土のうと比べて25%の工期短縮可能

熟練工を必要とせず、5名で1日約40mの設置が可能です。これは、大型土のうと比べ約25%の工期短縮になります。

仮設待受け擁壁の事例

山道や林道で仮設待受け擁壁として実際に連続箱型鋼製枠『マックスウォール』が用いられた事例を紹介します。

宮城県縁の郷法面工事

 

このケースでは、台風等の影響で土砂崩れが頻発していた現場において、早急な対策が求められていました。 当初は大型土のうが検討されましたが、以下のような課題を抱えていたことから、別の解決策の必要性が浮上していました。

  • 幅員の狭い現場への大型土のうの運搬や設置が難しいこと
  • 狭い現場を長期に封鎖することはできないため、短い工期で終える必要があること
  • 土砂崩れは頻発するため、仮設であっても一定の耐久性や一体性が必要であること

これを解決したのが、マックスウォールでした。

 

崩壊土砂量を想定して、マックスウォールと法面の間に1mのポケットを作成して設置したところ、平成27年9月の大型台風時に法面崩壊が発生したにも関わらず、擁壁背面に土砂を堆積させることができたため、道路への土砂の流出を防ぐことができました。

施主 宮城県大郷町役場 地域整備課
施工場所 宮城県黒川郡大郷町縁の郷
現場状況 法面
使用タイプ MW-1350
中詰材料 現地発生土
使用数量 3基(30m)
設置段数 1段
施工時期 平成27年8月
施工時間 1日程度

 

山形県地すべり対策

施主 国土交通省 東北地方整備局 新庄河川事務所
施工場所 山形県鶴岡市 急傾斜地
使用タイプ MW-1000
使用数量 12基 96m

 

和歌山県災害復旧

施主 和歌山県 田辺市役所
施工場所 和歌山県田辺市 山間(林道)
使用タイプ MW-1350
使用数量 6基 60m

 

大阪府災害復旧

施主 大阪府 茨木市役所
施工場所 大阪府茨木市 山間
使用タイプ MW-1000
使用数量 8基 80m

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連続箱型鋼製枠に関する問い合わせ

仮設待受け擁壁などの土留め工事における従来の課題を解消する新たな選択肢として、連続箱型鋼製枠マックスウォールを用いた工法をご紹介しました。

マックスウォールは仮設資材でありながら長期の使用に耐え、工期を短縮できます。そのうえ、特殊技能工や熟練工も必要としないことから全体でのコストを削減できる優れた工法です。

用地が限られたり高い耐用年数が求められたりする現場における解決策して、特に地方自治体で多くの採用実績があります。マックスウォールについてさらに詳しく知りたい方、担当者への問い合わせを希望される方は、以下のリンクへアクセスしてください。

>>太陽工業株式会社 連続箱型鋼製枠 「マックスウォール」

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