太陽工業コラム
今秋冬に来るかもしれない第6波に向けて『ドライブスルー型 PCR検査所』新型コロナウイルス感染拡大防止対策:テントメーカーが提案するソリューションとは
2020.06.08
新型コロナウイルスの感染による世界的な感染拡大は、世界の医療現場は逼迫しています。国内の医療現場は医療リソースを守るために、医療従事者や検査利用者の2次感染を防ぎ、より安全性を高めたな検査体制を構築することが求められています。
これを可能にするのが、テントを用いた『ドライブスルー型PCR検査所』です。
その機能や事例を詳しくご紹介します。
新型コロナウイルスのPCR検査所とは?その概要と課題
新型コロナウイルスの感染を診断する方法として現在用いられているのが、核酸増幅法(PCR法)を用いた「PCR検査」です。 感染を防ぐためにPPEという防護服を着用した医療従事者が専用の検査キットを使い、被検者の鼻から綿棒を挿入して検体を採取して、検査を行いますが、せきやくしゃみが出やすく、検体採取者の感染リスクが高くなります。
2020年4月現在、日本には1日あたり22,000件の検査体制が確立されております。 しかし、実際に行われているのは9,000件程度です。 検査には一定の時間も人的コストもかかるため、検査によって医療現場が逼迫して医療崩壊を起こさないよう、保健所が管理を行っています。 医療現場は、新型コロナウイルスによって人手不足に直面しようとしているのです。
また、医療施設内で行われる検査は、感染者と医療従事者、感染者と非感染者が接触(直接的にも間接的にも)することによって院内感染を引き起こすリスクと院内の消毒手間、医療資機材の不足など、あらゆる問題を抱えています。
現在のPCR検査体制は、検査コストと感染リスク、医療資機材不足という、3つの大きな課題を持っているのです。
ドライブスルー型の検査所とは?なぜエアーテントを用いるべきなのか
この課題を解決するために効果的なソリューションのひとつが、『ドライブスルー型PCR検査所』です。
被検者が自家用車に搭乗したまま検査を受けることのできる専用の仮設設備のことで、過去にも新型インフルエンザ流行の際に、サミット開催地の空港付近など検疫拠点で導入されました。
(ドライブスルー型検査所のイメージ)
新型コロナウイルスのPCR検査においてもこの方法は有効であり、医療現場の人的リソースの削減や、院内感染のリスク低下を期待することができます。
ただし一般的な建材を用いて設営する場合、仮設とはいえ一定の工期がかかるうえ、専門の工事業者が必要になります。 そのため、緊急時に短時間で設営したり、各医療機関の敷地内で場所を選ばずに設営したりすることができず、柔軟性に欠きます。
そこで、「医療用エアーテント」を用いたドライブスルー型PCR検査所が注目を集めています。 検査所としての機能を損なうことなく、設営の利便性や柔軟性を得ることができます。 エアーテントについて、そのメリットを詳しくご説明します。
エアーテントとは?
従来のパイプテントとは異なり、収納状態からテントを展張し、FRPロッドを接続し空気の力で柱3本を膨らませる構造を持つテントの総称で、軽量・コンパクトで持ち運びが容易であり、設営に専門技能を必要とせず、短時間で設置が可能であるなど、様々なメリットを持つ今注目の応急仮設空間です。
優れた医療用エアーテント「マク・クイックシェルター」
医療用エアーテントの中でも特に優れた性能を誇るのが、間もなく創業100年を迎える老舗テントメーカー太陽工業株式会社が提供する「マク・クイックシェルター」です。 その優れた機能性を紹介します。
コンパクトに収納できる
医療用エアーテント「マク・クイックシェルター」は、3本の独立した気柱と直交する横繋ぎ材により構成されたハイブリッドテントのため、コンパクトに収納できます。 最小で80cm×80cm×35cm程度に収まるので場所をとらず、ワゴン荷室内に畳んだテントの上にもスペースを確保できるため、他の備品の収納も圧迫しません。
緊急時にもすぐに取り出すことができます。
軽量で持ち運びが容易
「マク・クイックシェルター」は他社のエアーテントと比べて気柱部分が少ないため、空気の容量も少なく重量も大幅に軽減されています。
(※エアビームとは空気を入れる柱部分のことです。さらに生地もゴム引布ではなくポリエステル繊維布+塩ビ樹脂コーティングのため、よりいっそう軽量になっています。)
本体重量約55kgからと、わずか2人で運ぶことができるほど軽量です。 また、乗用車にも積載できる程度のサイズに折りたたむこともできるため、極めて容易に運ぶことができます。
設置は簡単 拡げて空気を入れるだけ
設置個所に運んで展開し、電動送風機で空気を送り込むだけで、10分で設置は完了します。力作業も発生せず、専門的な知識や慣れも必要としないため、女性や不慣れな方でも簡単に対応することができます。
わずか2名で設営可能
従来のパイプテントが一般的に4名の人手を必要とするといわれている中、医療用エアーテント「マク・クイックシェルター」は、一式につきわずか大人2名で展開が可能です。 下の写真のように空気で膨らむのを待つだけなので、両端を支える人員だけで設営ができてしまいます。半分の人員で済むということは、緊急時には倍の効率で設営が進むことを意味します。
最短約5分で設置可能
マク・クイックシェルターの設営にかかる作業時間のイメージは下記のとおりで、最短約3分で完了します。
- テントの展開(1~2分)
- ロッドの取り付け(1~2分)
- 空気の充填(1~3分)※手動でも可能(10分程度)
空気の充填が手動でも可能なため、空気を入れるポンプの電源(発電機)が用意できない場合にも対応が可能です。手動であっても、約10分程度で対応が可能です。
独立気柱と二重チューブ構造により、現場で修理ができる
一般的なエアーテントは、気柱部分が全て繋がっているため、一箇所に穴が開くと空気が漏れて全体が崩れてしまい、修理するには専門の工場へ運ぶ必要があります。 一方、マク・クイックシェルターは気柱がそれぞれ独立しており、完全倒壊の心配がなく、また、気柱が二重構造になっているため、損傷が内側に達するのを防ぎ、現場で内袋チューブの交換作業を行うことでテント全体を交換したりすることなく復旧させることができるようになっています。
わずか10分で撤収可能
マク・クイックシェルターは撤収も簡単かつ素早く行えます。排気ボタンを押すだけで勝手に空気が抜けていく仕様であるため、残った空気を送風機で吸込することで、10分程度で撤収は完了します。
全国1800張以上の実績
エアテント「マク・クイックシェルター」は、官公庁、全国の消防、医療機関、電力会社など、国内に1800張の実績があります。2009年の新型インフルエンザ(H1N1)流行時には医療用陰圧テントを開発し、200張納入しました。当社は間もなく創業100年を迎える膜構造・テントの老舗メーカーであり、業界のリーディングカンパニーです。
「膜にこだわり、膜を超える。」を謳い、膜の無限の可能性を引き出して感動と快適な環境を届けることを目指しています。
太陽工業が新型コロナウイルス対策に提案する『ドライブスルー型PCR検査所』のメリット
医療用エアーテント「マク・クイックシェルター」を用いたドライブスルー型PCR型検査所には、以下のような優れたメリットがあります。
院内感染リスクの軽減と消毒方法の簡素化
院内では二次感染リスクや室内消毒の方法に時間を要しますが、ドライブスルー方式は十分な換気が見込める屋外にテントを設置するため、感染リスクを下げることができます。 またテント内の室内用シートは交換・洗浄やテント内を消毒も簡単にすることが可能です。
検査を受ける被験者のプライバシーの保護
非公開とされている検査所での被検者のプライバシー保護は大変重要になります。 少しでも医療従事者・被検者の皆様に快適な検査スペースを提供することが求められ、また地域住民の感情を考慮した安心した空間での実施を要望されております。
空調設備などの快適環境の充実
これから6月以降の夏に向けて屋外空間でもかなりの暑さになりますが、専用の冷暖房設 備・スポットクーラー・フライシートを利用することで、快適に医療従事者の検査業務を行なう ことができます。
軽量・持ち運びも容易で場所を選ばない
いつ、どこで必要になるか分からない仮設空間にとって、設営の柔軟性は極めて重要な要素です。 わずか40kg~の軽量で自動車の荷台にも積めるマク・クイックシェルターは、必要に応じてどこにでも簡単に持ち運び、展開することができます。
短時間で設置可能
大人2名いれば、最短でわずか5分間で設置が完了します。 専用の工具や専門技能も必要としないため、誰でも簡単に設営することができます。
雨天にも対応
屋根、壁、床がひとつになった一体構造のテントであるため、雨天でも問題なく運用することができます。風対策も万全であるため、強風でも安定して使用可能です。
ニーズに合わせたサイズ・さまざまな用途展開
設置する場所のスペースや規模に応じて、最適なサイズのテントをご利用いただけます。 W3m~W5mの既成サイズの他、特注にも対応しており、W6m対応は高規格救急車を入れることも可能です。
その他医療従事者の消毒スペース、休憩スペース、PPE防護服などの着脱スペースとして利用する提案も増えております。(別途PDFカタログ資料参照)
鳥取県、奈良県、新潟市、名古屋市ではドライブスルー型PCR検査所を既に導入
「マク・クイックシェルター」を用いたドライブスルー型PCR検査所は、すでに各地で導入が始まっています。 2020年4月からは、全国に先駆けて鳥取県が、県内3箇所の医療施設への導入からスタートし、今後も導入を拡大していく予定です。 同時期に奈良県内の医療施設でもSCU(広域搬送拠点臨時医療施設)に「マク・クイックシェルター」を採用しています。(画像参照) ドライブスルー型PCR検査所の導入により、従来では2時間ほどかかっていた検査が、15分まで短縮され、大きな成果をもたらしています。
《実績写真》
(奈良県SCUのエアーテント)
(名古屋市某所のドライブスルー写真)
(某都内ドライブスルー写真)
大型の検査所には「レッカー展張テント」を活用してさらなる効率化を実現
大型の医療施設の敷地内など、広い場所で一度に多くの検査を行う場合、「レッカー展張テント」を使って大規模な検査所を設置することもできます。
支持杭を下地に溶接してボルト固定し、レッカーによりテントを吊り上げて設置するため、大がかりな工事でマク・クイックシェルターよりも時間を要しますが、幅10m以上の大型テントを使って一度に複数台のドライブスルー検査対応を可能にし、検査の効率をさらに向上させます。
その他のテント:フレームテント、テント倉庫など
設営や撤去、移動を繰り返さない長期仮設の検査所の設置には、フレームテントやテント倉庫などのソリューションも用意しています。 ドライブスルー検査所以外にも、付随する資材置き場等としてご利用いただくこともできます。 以下にそのバリエーションの一部をご紹介します。
フレームテント
移動型のジャバラ式大型テント
ワンタッチ側膜式テント
設営条件によって異なる提案が可能
仮設施設を設営する現場の条件により、それぞれに最適なテントソリューションの提案が可能です。 以下の図を参照し、検討の参考にしてください。
ご不明な点はお問い合わせフォームにご連絡くだされば、担当者より詳しく説明いたします。
太陽工業のドライブスルー型PCR検査所はレンタルも可能
太陽工業のドライブスルー型PCR検査所は、販売でのご提供の他、リーズナブルなレンタルでもご利用いただけます。
詳しくは、お問い合わせフォームまでご連絡ください。
まとめ
新型コロナウイルスのPCR検査を行う医療現場は、人手不足と感染リスクという2つの課題を抱えており、これを解決するソリューションのひとつが「ドライブスルー型PCR検査所」です。 仮設の設備としてテントを用いることで、検査所の効率を最大限に高めることができます。
太陽工業は、これまでに培った膜・テントに関する技術とノウハウを用い、この度の新型コロナウイルス感染拡大の収束に貢献したいと考えています。 テントを活用した『ドライブスルー型PCR検査所』など、より安全な医療体制を実現するソリューションをぜひ、ご検討ください。