太陽工業コラム

陰圧設備の重要性 │ 感染症に対する陰圧テントの導入事例まとめ

感染症は、周期的に大規模な拡大を起こしています。2000年代に流行したSARSや新型インフルエンザ、海外ではエボラ出血熱やMERSコロナウイルスが直近でも発生しています。

2020年現在では新型コロナウイルスが大流行し、これまで以上に感染症対策に注目が集まっています。より効果の高い施策や設備などを求める声が日々大きくなる中、陰圧設備の重要性が改めて認識されています。

本稿で過去の感染症と、感染症対策における陰圧設備の重要性と医療用陰圧テントについてご紹介します。

過去の感染症

感染症とは、ウイルスや菌などの目に見えない病原体がヒトの体内に侵入することで症状を発現させる病気のことです。主に以下の3つの経路で病原体は宿主から宿主に拡がり、感染者が増加していきます。

新型インフルエンザ(豚インフルエンザ) 2009年

発生源は豚インフルエンザウイルスとされ、豚から人に感染し、アメリカを中心に流行しました。CDC(アメリカ疾病予防管理センター)から発生報告を受けたWHOは2か月後には、世界的流行の警戒水準フェーズ6(最高レベル)を宣言するに至りました。

 

通常のインフルエンザと同様に主に飛沫感染によって広がり、飛沫は大きいため飛ぶ距離は通常1メートル以内と言われています。ただし、空気や汚染された物を介してより広範囲に広がる可能性もあります。現在は、抗ウイルス薬によって症状を和らげるか回復を早くすることが可能です。

中東呼吸器症候群(MERS) 2012年

2012年に中東へ渡航歴のある症例から発見された新種のMERSコロナウイルスによる感染症で、ロンドンで発見されました。2015年にはおもに韓国で感染が拡大しました。感染者は1,200人を越え、死亡者は450人に達しました。公共施設での密接接触(2m以内での接触)が危険とされ、航空機などではサーモグラフィーによる体表温度スクリーニングが行われました。

 

西アフリカエボラ出血熱(EHF) 2014年

エボラ出血熱の病原体であるエボラウイルスは、一部を除いて人に対する感染力が強く、バイオセーフティレベルで高位レベルに指定されています。日本においては、感染例の全件が直ちに届出を必要とされています。

 

確実な陰圧隔離を行うためには

一般社団法人 日本感染症学会によると、理想的な陰圧隔離には、前室を設け、病室と前室は単独の給排気を行い、病室の空気が流出しない設備が必要とされています。また、病室と前室の病原微生物、塵埃の数を減らすためには室内空気の一定回数以上の換気が必要とされ、CDC(アメリカ疾病管理予防センター)が推奨している99%以上の換気を短時間で行うためには、室内の換気回数は12回/時間以上と設定されています。

ただし、このような基準を満たす陰圧設備は、設置と運用のコストからどこでも実装できる訳ではなく、実際のところ陰圧室を設置している病院は一握りです。 この傾向は国立病院の中でも同様です。そこで、低コストで素早く設置することができる医療用陰圧テントが注目されています。

医療用陰圧テントとは

「陰圧フィルター」を有したエアーテントです。医療行為が行われる本体テントの気圧を外部よりも下げます。テント内のウイルス類をフィルターでろ過、クリーンな空気のみを外部に排出して、ウイルスの飛散を防ぎます。本体テント内についても、一定方向に空気の流れを保ち、医療従事者が二次感染しにくい環境をつくります。

優れた医療用陰圧テント「マク・クイックシェルター」

医療用陰圧テントの中でも特に優れた機能性を誇り、2009年に新型インフルエンザが流行した際にも全国で導入されて活躍したのが、太陽工業株式会社の「マク・クイックシェルター」です。

マク・クイックシェルターは以下のような特徴を持ち、設営において高い効果を発揮します。

  • 立ち上げ:最短で約1分程度で立ち上がります。
  • 収納:立ち上げだけでなく、移動などのための収納も迅速です。5分程度で収納が完了します。
  • 必要人数:最少で大人2人いれば、設置・収納が可能です。
  • 形状:屋根膜とエアビーム(柱)が一体化しており、形状安定性に優れます。
  • 火災対策:膜材には防炎製品を使用しているため、高い防火性を誇ります。
  • メンテナンス:一般的なテントは破損すると工場に持ち込んで修理が必要ですが、マク・クイックシェルターは現場で簡単にメンテナンス可能です。
  • 断熱性と対結露性:二重膜仕様の膜材なら、断熱性に優れるため冷暖房効率が高まる他、カビの発生原因になる結露も抑えることができます。

太陽工業株式会社:「マク・クイックシェルター」に関するお問い合わせはこちら。

陰圧テントの導入事例

韓国のMERS対策

2015年からMERS(マーズ)対策として、90基以上のエアーテントが納品されました。

 

2020年の新型コロナウイルスに対してもそのマク・クイックシェルターが市街地の公共広場に臨時で設置され、検査設備として活用されました。

 

エボラ出血熱の流行に対する緊急援助

ODA(政府開発援助)コンゴ民主共和国東部におけるエボラ出血熱の流行に対する緊急援助として、一般財団法人 日本国際協力システムより30基が提供されました。

 

 

2019年インフルエンザ訓練

2009年の新型インフルエンザ以降、感染症の流行に備え、埼玉県庁では陰圧テントを購入して県内各地に配備しています。

まとめ

感染症の対策には病原体の拡散を防ぐことが重要であり、大きく4つの理由から医療用の陰圧テントが有効といえます。

  1. 密閉空間で感染拡大を防ぐ
  2. 通常の診療室とは別の場所に素早く設置できる
  3. 小型軽量で平時はコンパクトに収納できる
  4. 持ち運びが容易で設置場所を選ばない

また、いつ訪れるか分からない感染症の拡大に備え、現在、新潟市や名古屋市ではドライブスルー型の検査が検討されています。

 

合わせて、以下のような活用をご提案させていただきます。

・公共施設の建物や工場や企業の出入口にエアーテントを設置。
ーー通過の際に感知サーモグラフィーにて検温を実施したり消毒スペースとして活用
いただくこともできます。

太陽工業株式会社:医療用陰圧テントについて問い合わせる。