膜構造建築物の特長

膜構造建築物には材料の軽量性や高強度を活かした人々の暮らしや環境を豊かにする多くの特長があります。

大スパンの解放空間が実現可能

膜材は、通常の建築素材に比べてきわめて軽量な素材です。その軽さを活かし、膜構造建築物は柱が無い、広大な空間を実現します。

高い透光性がつくる明るい空間

白色系の膜材を使用すると日中は室内の明るさを保ち、照明コストを低減。また、夜間はライティングによる幻想的な空間を演出します。

工期が短縮できる

大面積の膜パネルを、最新の工法で一気に取り付けることが可能です。同様に撤去作業も容易に行えます。

コストダウンに貢献

軽量な素材構成で建設出来る為、建設コストの削減を実現します。また白色膜材はその高い透光性で照明コスト削減にも貢献します。

高い強度と柔軟性を兼ね備えた素材

厳しい強度試験をクリアした膜材は高い強度と耐久性を維持したうえで幅広い仕様対応が可能です。

温度を抑制、紫外線もカット

白色の膜屋根は日射反射率が75%以上と高くこの数値はクールルーフの代表の高反射率塗料と同等の反射率です。そのため、膜屋根で覆われた空間の温熱環境が良好となります。また、紫外線を大幅に低減するため、紫外線の影響を気にされる方に安心な空間を作ります。

風ニモ負ケズ、雪ニモ負ケズ

現在、台風銀座の沖縄諸島周辺で10数カ所の膜屋根の浮桟橋が活躍しているのをご存知でしょうか?膜は塩害に強く、耐久性に優れ、その軽さが浮桟橋本体の構造に有利に働くからです。強風に対する耐久力についても、建築材料として認定された膜材の強度は高く、建築基準法に準じた設計をすることで、台風にも負けない強度の膜構造建築物となります。

素材別屋根裏面温度と
体感温度

膜、金属、スレートの3種類の屋根材について、屋根下の表面温度、平均放射温度(MRT)、放射熱による屋根下の体感温度(OT)を測定しました。
その結果、膜屋根は金属屋根に比べ1.5℃、スレート屋根に比べ3.5℃体感温度が低いことが確認されました。
また、最大照度は金属屋根、スレート屋根に比べはるかに明るい16,000lxという結果が得られました。

膜屋根

気温:35℃/屋根裏面温度:40℃
平均放射温度{MRT}:37℃/体感温度{作用温度OT}:36℃
最大照度:16,000lx

金属屋根

気温:35℃/屋根裏面温度:49℃
平均放射温度{MRT}:40℃/体感温度{作用温度OT}:37.5℃
最大照度:4,700lx

スレート屋根

気温:37℃/屋根裏面温度:55℃
平均放射温度{MRT}:42℃/体感温度{作用温度OT}:39.5℃
最大照度:2,400lx

ヒートアイランド現象の抑制にも寄与

膜屋根は、日射反射率が高く日射エネルギーを天空へ反射する割合を高め、熱の吸収を防ぎます。そのため都市のヒートアイランド現象の緩和を促します。

CO2排出量の削減

膜材のCO2排出量をCO2排出量単位*を基に算出し、実際に建築材料として使用する場合で比較検討してみると、
膜材の1㎡当たりのCO2排出量は約3kg-CO2/㎡(A種膜材の場合)であり、他素材に比べ圧倒的に少量です。
その秘密は、膜材が1㎡当たり約1kgという建築材料としての圧倒的な軽さにあります。

建築材料1㎡当たりのCO2排出量での比較 (kg-CO2/㎡)

算出条件

  材料名
アルミハニカム ガラス ポリカーポネート 折板
メッキ鋼板
A種
膜材
C種
膜材
B種
膜材
厚さ(mm) 105 6.8 6 0.8 0.6 0.54 0.54
CO2排出原単位
(kg-CO2/kg)
9.25 2.27 5.08 1.12 3.14 2.39 1.96
重量kg/㎡ 28 18 7.2 12 1 0.82 0.65
1㎡当たりCO2
排出量
(kg-CO2/㎡)
259.06 40.91 36.58 13.38 3.14 1.96 1.27

※ポリカーポネートのCO2排出原単位は「化学経済研究所 1993」に基づいています。

※その他の材料のCO2の排出原単位(生産~流通段階)は「1995年三行連閲表」に基づき当社で算出しています。

建築材料1kg当たりのCO2排出量での比較(kg-CO2/kg)

他の建材が1㎡あたり7~28kgあるのに対し膜材は1kg程度。それによりCO2の大幅削減に繋がります。

地震に強い

膜材は、通常の建築材料に比べてきわめて軽量な素材です。そして軽さは地震に対しても非常に有利です。
地震の震動エネルギーは屋根の重量に比例をするため、膜材の軽さは、建物の耐震性を著しく高めます。
また、膜材の特長のひとつである柔軟性は、地震の際の変形に追従するため、破損しにくく飛散しません。落下による二次災害が起きにくい材料といえます。

金属屋根

破損による落下・崩落が起きやすい
落下物による2次被害が起きやすい

膜屋根

破断しても即落下には繋がりにくい
落下物による2次被害が起きにくい

建築用膜材の基本4種

フッ素樹脂/ガラス繊維膜材
(A種膜材)

ガラス繊維にフッ素樹脂をコーティングした膜材。耐久性は30年以上を見込む不燃材料。この膜材の出現により、テント=仮設という前提条件を覆し、恒久建築物に膜材が使用されるようになりました。

PVC/ガラス繊維膜材(B種膜材)

ガラス繊維にPVC(塩化ビニル樹脂)をコーティングした膜材。基布をガラス繊維とすることで、防火性能と強度を上げています。耐久性は15年程度。不燃認定材料で、さまざまな用途の建築に使用可能です。

PVC/合成繊維膜材(C種膜材)

ポリエステル繊維などの合成繊維にPVC(塩化ビニル樹脂)をコーティングした膜材。耐久性は15年程度。防災2級製品。建築基準法22条地域でも用途によって使用可能です。

膜構造用フィルム(ETFEフィルム)

フッ素樹脂ETFEをフィルム状に成形した膜構造用フィルム。基布はなく、ガラスのような高い透明性があります。耐久性は20年以上を見込む、防炎1級製品。耐火性能としては、現在、C種膜材と同様に扱えます。

建築用膜材の技術3種

四フッ化エチレン樹脂コーティング膜(PTFE膜)

ガラス繊維にフッ素樹脂をコーティングした膜材。耐久性は30年以上を見込む不燃材料。この膜材の出現により、テント=仮設という前提条件を覆し、恒久建築物に膜材が使用されるようになりました。

光触媒テント(酸化チタン光触媒膜材)

ガラス繊維にPVC(塩化ビニル樹脂)をコーティングした膜材。基布をガラス繊維とすることで、防火性能と強度を上げています。耐久性は15年程度。不燃認定材料で、さまざまな用途の建築に使用可能です。

高機能フッ素樹脂ETFEフィルム

フッ素樹脂ETFEをフィルム状に成形した膜構造用フィルム。基布はなく、ガラスのような高い透明性があります。耐久性は20年以上を見込む、防炎1級製品。耐火性能としては、現在、C種膜材と同様に扱えます。