膜構造で変わる 告示改正がもたらす建築物への 日本の建築 メリットと社会課題解決への貢献
令和6年6月28日に膜構造の建築物、建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準の一部を改正する告示が公布・施行されました。
膜構造建築の告示改正は、単なる規制変更ではありません。
日本の建築物に新しい可能性をもたらし、建築を通じ持続可能な社会の実現に向けた一歩となります。
膜構造建築の変化は、デザインの自由度を高めるだけでなく、軽量性の向上によって災害対策や製造・施工時の CO2排出量削減につながり、社会課題の解決にも貢献します。今回の告示改正を通じて、私たちはこれまでにない膜構造建築のあり方を提案し、日本の建築文化に革新をもたらします。
膜構造告示改正による
3つのメリット
今回の告示改正により建築にもたらされるメリットは何でしょうか?
それは、大きく3つに分類されます。
- 1. 少ない資材で建築できることによる、低炭素化の促進
- 2. 圧倒的軽快性と開放的な空間の実現による、さらなる快適性の向上
- 3. 形状自由度の向上による、シンボリックなデザインの創出
膜構造本来のポテンシャルが最大限に発揮されることで、
建築業界の課題解決と発展に寄与します。建築から
サステナブルな社会を実現
ケーブルの併用などによる軽量構造の実現により、最小の部材で空間を形成することができるようになります。これにより製造・施工時に発生するCO2排出量の削減にもつながります。膜構造は、低炭素社会に大きく貢献し、持続可能な社会の構築をサポートします。
- 投影面積1,000㎡を超える膜構造建築物が対象
膜構造ならではの
圧倒的な開放感の実現
- 設計条件により数値は変動します
膜構造は元々空間を明るくする効果がありますが、今回の 告示改正により膜を支持する骨組同士の間隔を大幅に広げることが可能になり、これまで以上に明るく開放的な空間が実現されます。特にスポーツ施設などの活動空間では、視覚的にも心理的にも快適さが向上し、利用者にとって居心地の良い環境が提供されます。
- 投影面積1,000㎡を超える膜構造建築物が対象
建築デザインの
自由度が向上
従来は屋根形態が切妻、片流れ、円弧に制限されていましたが、今回の告示改正により制限がなくなりデザインの自由度が大幅に向上しました。これにより設計者は、優雅で軽快、ダイナミックなフォルムを描き出すことができ、市民に愛される街のシンボルを生み出すことが可能です。
膜構造告示改正による
変更点これまでは投影面積1,000㎡より大きい膜構造建築物は、支点間距離4m以下の単純な形状の骨組膜構造に限定されており、ケーブルに膜を張るサスペンション膜構造は認められていませんでした。今回の告示改正により、今後はより膜構造のポテンシャル(強度、形状自由度、軽量性、ケーブルとの併用、開放感、低炭素性)が活かされ、設計自由度が大幅に向上します。骨組み膜構造の3つの条件は全て撤廃され、サスペンション膜構造も可能になります。
これまでの膜構造
投影面積は原則1,000㎡以下
形式 | 投影面積 | |
---|---|---|
骨組膜構造 ※1 |
|
制限なし |
上記以外の規模や形状 | 1,000㎡以下 | |
サスペンション 膜構造※2 |
条件等はなし | 1,000㎡以下 |
これからの膜構造
投影面積の制限なし
形式 | 投影面積 | |
---|---|---|
骨組膜構造 ※1 | 骨組等又は膜面の周囲の構造用ケーブル(片側に膜が張られているもの)で囲まれる投影面積が1,000㎡以内 | 制限なし |
サスペンション 膜構造※2 |
以下3種類の条件のいずれかを満たすもの
|
制限なし |
- 骨組みに膜を張った構造
- ケーブルに膜を張った構造
- 「骨組等」はそれに定着された部分のみを指します。ケーブルは定着している場合でも「骨組等」には含まれません。
- この場合の「支点」には押さえケーブルや定着していない鉄骨も含みます。
- ここでいう形状は、「膜面」ではなくそれを支える骨組みの形状を指します。
建築基準法などについて
よりくわしくはこちらをご覧ください膜構造告示改正によって
実現可能性が広がる 建築物の事例
※ 海外実績