地下の感覚を捉えた未来志向型の広告が有効

東京国際大学、メトロアドエージェンシーと地下鉄空間での効果的なクリエイティブを検証

 大型膜面構造物(テント構造物)や土木・物流資材などを手がける太陽工業株式会社(東京本社:東京都世田谷区、大阪本社:大阪市淀川区、社長:能村 祐己、以下:太陽工業)は、株式会社メトロアドエージェンシー(本社:東京都港区、代表取締役社長:川田 博之、以下:メトロアド)と協力し、東京国際大学との産学連携による共同研究を行いました。今回は、その第2弾として、地下走行の車両メディアで効果的なクリエイティブを検証しました。

※第1弾は「駅の階段広告」を研究対象として調査を実施。詳細は

東京国際大学、メトロアドエージェンシーと共同で地下鉄広告を検証

地上と比較し、地下空間では刺激を求める傾向

東京国際大学 平木ゼミでの先行研究やプリテストの結果、地下≒暗い環境では不安感情が高まり、地上より「スマホなどの刺激物へ注意が向く環境」であることが導き出されました。

スマホと同じく注意を向けるためにどんな刺激が効果的か?

創業100年以上の歴史を誇る太陽グループ(太陽工業株式会社、TSP太陽株式会社、アクティオ株式会社)を題材に検証いたしました。次の100年に向けて、グループ経営の強化を図っていることをステークホルダーへ周知する「未来要素[1]」がある動画広告を東京メトロ全線の車両内デジタルサイネージで放映しました。その後、昼と夜に分けてインターネット調査を行い、動画広告に対する印象を調査しました。その結果、昼を地上空間、夜を地下空間と想定した場合、地上よりも地下のほうが広告への注意や評価が高くなりました。

このことから、地下鉄で展開する広告は、未来的な要素があるクリエイティブが効果的であることが明らかになりました。

[1] 事前のクリエイティブ調査で「未来要素(未来,将来,希望,新しさを感じる)」があることを確認

単なる色味や形だけでの表現(刺激)では効果的にならない

事前のプリテストにて、より強い刺激を与えるために「広告の色味」や「広告の形」の違いでも検証しましたが、地上と地下で広告に対する注意や評価に違いは見られませんでした。しかし、「海外」や「未来」の訴求内容は高評価となりました。明るい条件(地上)よりも暗い条件(地下鉄)において、国内よりも海外、過去より未来の方が光との概念の結びつきが強いからだと思われます。

地下鉄で展開する広告は、単に刺激を強くするだけではなく、訴求内容(クリエイティブ)から光概念を活性化させること、なかでも「未来」を訴求した内容は効果が高いことが示されました。

今後への示唆出し

今回の検証では、無意識に不安感情が高まる地下空間において、人は刺激を求めること、その刺激は光の概念を連想させるクリエイティブが有効であることがわかりました。ただし、訴求ポイントやクリエイティブ表現など特定のシチュエーションでの調査につき、すべての広告主・車両内サイネージ全体に応用が効くものではありません。

今後も様々な検証を重ねて、広告プランニングの一端を担えるよう、努めていきます。

本プロジェクトの概要

本調査は、東京国際大学商学部 平木ゼミに仮説立案から調査、メトロアドに広告媒体の提供を担っていただき、太陽工業は広告主として協力することで実現しました。

研究主体: 東京国際大学 商学部 平木ゼミ27名(3年生14名、4年生13名)

協力: 太陽工業、メトロアド

研究期間: 2022年9月~2024年6月

・大学構内のプレ調査-第1回:2022年11月16日

・大学構内のプレ調査-第2回:2023年6月28日

・動画クリエイティブのプリテスト:2024年2月21日

・東京メトロ全線ドア上車両(Tokyo Metro Vision)放映:2024年2月26日~3月3日

・インターネット調査:2024年3月8日(夜)・3月11日(昼)

東京国際大学 商学部 平木ゼミ

感覚(センサリー)マーケティングの研究分野で長けた平木いくみ教授のもと、主に「マーケティングと消費者行動」の研究活動をしています。これまでも産学協同の研究は活発にしており、コンビニエンスストアでの陳列やPOP広告の実験、さいたまスーパーアリーナでのチラシ実験、地酒ビールのブランディングなどの実績があります。

株式会社メトロアドエージェンシーについて

東京メトロ(東京地下鉄)グループの広告会社。東京メトロ構内の広告媒体の運営管理、屋外イベントスペースの運用や広告代理業、自社キャラクター・メディア事業を展開しております。グループ資産を軸に企業の統合的なマーケティング・コミュニケーションをプロデュースしています。

太陽工業株式会社について

太陽工業は、経済性、施工性、透光性、デザイン性に優れた大型膜面構造物のリーディングカンパニーです。「膜の無限の可能性を引き出し、お客さまに感動と快適な環境をお届けします。」の企業理念のもと、軽くて丈夫な素材の特性を活かし、巨大ドームの屋根に象徴される各種建築事業をはじめ、土木や物流、さらには環境分野などにも事業を展開し社会の安全・安心を支えています。

太陽グループについて

太陽工業株式会社、TSP太陽株式会社、アクティオ株式会社の3社からなります。

太陽グループは1922年、能村テント商会として創業し、その後、戦後の焼け野原の中、ミシン一台ハサミ一丁から再スタートを切りました。創業以来、「少しでも社会の役に立ちたい、一人でも多くの人に感動を届けたい」という思いのもと、「膜」素材の特徴を活かしたユニークな製品を世に送り出してきました。「膜」技術をベースに1970年の大阪万博で大規模なパビリオン設営や運営を請け負うなかで、TSP太陽やアクティオが誕生し、能村テント商会を起源とする今日のグループ3社が形成されました。グループ創業100周年を機に、グループ3社でのシナジーを高めながら膜と空間と体験の可能性を追求し続け、「世界を、やわらかく。未来を、あたたかく。」することを目指しています。

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