大型膜面構造物(テント構造物)や土木・物流資材などを手がける太陽工業株式会社(東京本社:東京都世田谷区、大阪本社:大阪市淀川区、社長:能村 祐己)は、一般財団法人国土技術研究センターが2023年3月に公募した『越水に対して「粘り強い河川堤防に関する技術」』に、当社製品である透気防水シート 「ブリーザブルシート」を応募しました。堤防高2.5m、天端幅3.0m、法勾配1:2.0の実物大の堤防越流実験などを経て、このほど「ブリーザブルシート」の有効性(越水に対する性能を有していること)が確認されました。近年の気候変動にともなった洪水被害の頻発化・激甚化に対応するため、今後、実堤防でのパイロット施工などにより、さらなる性能の確認ならびに技術的信頼性の蓄積が進められます。
■透気防水シート 「ブリーザブルシート」
優れた防水性能と透気性能を有する透気防水性シートを保護マットで挟み込んだ3層一体型シートで、堤体内への雨水や河川水の浸透を抑制し、シート全面で空気の透過が可能です。増水による堤体内浸潤面の上昇時に間隙空気が迅速に排出されるため、堤体内の間隙空気圧の上昇、エアーブロー現象や堤体損傷を防ぎます。これまで愛知県矢作川堤防補強工事(2021年3月)などで既に活用されています。
https://www.taiyokogyo.co.jp/products/10097/
■越水に対して「粘り強い河川堤防に関する技術」(技術公募)
国土交通省が2022年9月に選定した第三者機関である一般財団法人国土技術研究センターが公募したものです。公募期間は、2023年3月10日~2023年9月11日。
https://www.jice.or.jp/nebarizuyoi
■実物大越流実験の概要
2019年の台風19号による堤防決壊の主要因の86%は越水によるものでした。従って、堤防から越水した場合であっても、住民の避難時間を確保し、決壊するまでの時間を少しでも引き延ばす「粘り強い河川堤防」の整備が求められています。越水に対する性能を評価するための技術開発上の目安として、越流水深の試算事例、近年の越水事例における被災状況や越流水深、越流時間、避難に要する時間等の知見を踏まえ、「越流水深30cmの外力に対して、越流時間3時間の間は越水に対する性能を維持する構造とすること」が設定されました。
○実物大実験の堤防模型断面
○実験内容
- 越流水深30cmまで一定速度で水位を上昇後一定に保ち、3時間以上の越流実験を実施。
- 堤防の天端保護工、法肩保護工、裏法保護工、裏法尻保護工、ドレーン工の変状(侵食防止効果)を目視観察とレベル測量により確認。
- 再現性(信頼性)確認のため、同じ条件で計3回の実験を実施。
○実験結果
- 越流実験前と越水3時間後の各部位の平均計測高の変位差は8 mm以下と小さく、3回の越流実験全てでほとんど変位しておらず、堤防高さが維持されていました。
- 目視観察の結果、各部位に変状は見られず、堤体が表面被覆材によって被覆された状態が維持されていました。
- 堤体表面に浸透や侵食等の損傷は見られず、耐侵食性能が確認されました。
○応募技術に対する評価
応募技術に対する評価階層は「分類B」と判定され、透気防水シート「ブリーザブルシート」は、継続的な技術開発が望まれるとの評価を受けました。
太陽工業株式会社について
太陽工業は、経済性、施工性、透光性、デザイン性に優れた大型膜面構造物のリーディングカンパニーです。「膜の無限の可能性を引き出し、お客さまに感動と快適な環境をお届けします。」の企業理念のもと、軽くて丈夫な素材の特性を活かし、巨大ドームの屋根に象徴される各種建築事業をはじめ、土木や物流、さらには環境分野などにも事業を展開し社会の安全・安心を支えています。
イベントコンサルティングのTSP太陽株式会社ならびに施設運営のアクティオ株式会社をはじめとするグループ会社とともに「世界を、やわらかく。未来を、あたたかく。」することを目指しています。
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