コンクリートキャンバス
水をかけるだけで薄く高耐久・水密性が高く火にも強いコンクリート面を作ることができます。
特殊配合のドライコンクリートを3次元のキャンバス(繊維マトリクス織編物)とPVCシートでサンドイッチした構造で、敷設後に水を散布、もしくは水中に浸けることでドライコンクリートが硬化し始めます。薄く、高耐久で火に強いコンクリート面を構築することができます。
新技術情報システム「NETIS登録」:コンクリートキャンバス工法
登録番号 CG-220009-A
製品・サービス紹介
特長
高い施工性
コンクリート面構築に必要な資材はコンクリートキャンバスと水のみです。
現場打設のための重機や特殊技能は一切不要です。計量や練混ぜを行う必要がなく、水量過剰となることもありません。水中施工や海水による水和も可能です。
人力で運搬可能な「バッチロール」と重機による大規模高速施工が可能な「バルクロール」をお選びいただけます。高強力であるため、伸びが小さい。
地盤への追随性に富む
硬化前は柔軟性に優れており複雑な形状に馴染む(水和開始後も1~2時間は微調整が可能)
普通作業員で簡単施工
特殊工具・特殊作業員が不要で、必要重機は荷下ろし重機程度
水中・雨天時でも施工が可能
淡水でも海水でも水和・硬化し、水中での施工や雨天時での施工も可能
保管も可能
湿度管理を行うことで製造日より2年程度は保管も可能
耐久性
耐化学性と耐候性を有しており、紫外線による劣化もありません。
環境性
最大の特長は遊離アルカリ量が限定的で、すり減り量が少ないことから、地域の生態系への影響を最小限に抑えられます。その他、コンクリートキャンバスは環境に優しい製品です。
CO2の削減
コンクリートキャンバスは既製の材料ロールからコンクリートの薄膜を敷く唯一の方法です。防草対策など薄い表面材として用いた場合、従来工法の打設コンクリートでは50~150 mmを要するのに対し、わずか4.5~8 mmの薄さで置き換えることが可能です。その結果、一般的な建設計画であれば材料を最大95%節約できます。これにより、材料節約を通じてだけでなく道路輸送や現場で要する時間の面からも建設作業のCO2排出量が直接的に削減されます。
遊離アルカリが少ない
コンクリートキャンバスは限定的な遊離アルカリ量の特殊な早強コンクリートを使用しています。大抵のコンクリートと異なり、刺激物には分類されず環境への害が少ない製品です。
EA承認(英国)
環境局(EA)生物多様性チームにより、2010年にChurch Village Bypassプロジェクトでのコンクリートキャンバスの使用が承認されました。利点として「表面が粗く河道の形態に多様性を与える」こと、「河道の流路に湾曲」を導入できること等が挙げられています。これ以降、複数のプロジェクトで個別の判断に基づく承認を受けており、最近では雑草防止としてEA内で使用する目的でEAによる直接購入の実績を得ています。
防火性
コンクリートキャンバスは防火性があり、炎が表面にひろがらず煙の発生を低く抑えると共に有害ガスの放出を最小限に抑えます。
用途によっては防火層として使用することができます。BS EN 13501の火炎反応試験により、ユーロクラスBを達成しています。
また、コンクリートキャンバスは米国の鉱山安全衛生庁(MSHA)により30CFRパート7第B節セクション7.24 を満たしているとの承認も受けています。
主な部材・施工手順
設置
1.損傷に繋がるような岩石や切り株等の突起物は事前に取り除くようにします。コンクリートキャンバスは地盤形状によく馴染みます。美しい仕上がりには地面の成形が不可欠です。
2.PVCシートを下面に、所定の位置にコンクリートキャンバスを展張します。連続して敷設する場合には重ね代を100mm以上取るようにして下さい。また、水の流れがある場合、全ての継ぎ目は流れの方向となるようにします。
3.必要に応じてコンクリートキャンバスを切断加工します。硬化前であれば一般的なカッターやディスクカッターなどで切断可能です。
4.アンカーピン等を用い、コンクリートキャンバスを固定します。地盤条件や勾配に応じて、ピンの種類や打設ピッチを決定します。
水和
5.設置が終了した後、散水等により、コンクリートキャンバスを水和させます。(海水でも構いません)状況により1時間後に再度散水します。
6.木ネジ等で重ね合わせたコンクリートキャンバスを結合します。用途によって接着シーラント等も使用します。
7.硬化前のCCは非常に柔軟で桝への接続や終末点の処理を簡単に行うことができます。
8.コンクリートキャンバスはいったん水和反応が始まってもおおよそ2時間は固まりはじめないので、調整が可能です(熱帯域では短くなる傾向があります)。コンクリートキャンバスは硬化が迅速に進みますので、24時間で10日強度の80%まで強度が増進します。
規格寸法
コンクリートキャンバス(CC)の規格寸法
品番 | 厚さ(mm) | 長さ | 幅(m) | 未硬化時重量(kg/m2) | |
---|---|---|---|---|---|
バッチロール | バルクロール | ||||
CCT1 | 4.5(-0.0/+1.0) | 9.5(-0.0/+1.0) | ——— | 1.0(-0.02/+0.07) | 7.0以上 |
CCT2 | 7.0(-0.0/+2.0) | 4.3(-0.0/+0.5) | ——— | 1.1(-0.03/+0.03) | 10.5以上 |
CCT3 | 10.0(-0.0/+3.5) | ——— | 72(-0.0/+2.0) | 1.1(-0.03/+0.03) | 18.5以上 |
※国内在庫はCCT1/2のバッチロールのみ。他は受注後に英国より輸入となります。
圧縮強度 | 曲げ強度 | 粗度係数 | すり減り抵抗 | ||
---|---|---|---|---|---|
80MPa以上 | 4.0MPa以上 | 0.011 | 0.15mm/1000cycles |
※英国規格の耐火、耐凍害など各種性能試験に合格。※圧縮強度は材齢28日、曲げ強度は材齢1日を示す。
※上記の数値は、保証値ではありません。
用途
コンクリートキャンバスはその独特な性能を生かして様々な場所で使用されています。
災害復旧(土のう被覆)
侵食防止(表面保護)
水路維持・拡張
水路工
防草
用途 | CCT1(CC5) | CCT2(CC8) | CCT3 | フィルター型 |
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水路ライニング | ◯ | ◎ | ◯ | 以下のいずれかの条件以外に該当する場合には、CCT2(CC8)を推奨します。 既存コンクリート製水路工および岩などの硬い基盤の表面補修保護、または一時的な工事の場合には、CCT1(CC5)を使用します。 流速が8.6m/sを超える場合、車両の通行のある地盤、または特に不安定もしくは急勾配の地盤には、CCT3を使用します。 |
法面保護 | ◎ | ◯ | ー | CCT1(CC5)を推奨します。 CCT2(CC8)は、不安定な地盤または流量が多い場合に使用できます。 |
堰堤ライニング | ◎ | ◯ | ◯ | CCT1(CC5)を推奨します。 交通量の多い場所ではCCT2(CC8)またはCCT3を使用できます。 |
コンクリート補修 | ◎ | ◯ | ◯ | CCT1(CC5)を推奨します。 空洞が大きい場合、または大流量や乱流を伴う用途には、CCT2(CC8)またはCCT3が使用できます。 |
カルバートライニング | ◯ | ◎ | ◯ | CCT2(CC8)を推奨します。土石が多い場所や流速が大きい条件では、CCT3を使用できます。 流速が小さい条件や土石が少ない場合にはCCT1(CC5)を使用できます。 |
防草 | ◎ | ◯ | ー | CCT1(CC5)を推奨します。メンテナンス等でコンクリートキャンバス上を歩行する場合はCCT2(CC8)を推奨します。 |
吐出口/余水吐け | ー | ◎ | ◯ | CCT2(CC8)を推奨します。土石が多い落口や流量が多い場合には、CCT3を使用します。 |
しゃかご保護/ 大型土のう保護 |
◎ | ◎ | ◯ | CCT1(CC5)またはCCT2(CC8)を推奨します。流速が大きい場合や衝撃にさらされる場所ではCCT3を使用できます。 |
通気坑壁/防護壁 | ◎ | ◎ | ◯ | 通気坑壁にはCCT1(CC5)を推奨します。 防護壁についてはかかる圧力に応じてCCT2(CC8)を推奨します。 |